景観保全と環境管理

はじめに
 農林業の衰退が多くの地域で問題となっている。農林業の衰退は、農林地の放置をもたらす点で、地域の環境問題に波及する。木材と食糧の輸入が増大し、国内生産の比重が低下していったことが、直接的な衰退の原因であろうが、工業生産の増大と経済発展が、農林業の労力を吸収し、生産性の格差を増大させていったことも、衰退の要因である。生産と労働人口の面から、農林業の比重低下は、必然的なものといえるのだろう。こうした要因に加えて、農林業の経営的基盤が弱小であり、地域住民の側からも、農林業から商工業への移行が進展していった。農林業は農家の自給的な規模以上に、縮小している場合が多くなっているといえるのだろう。こうした点から、農林業の衰退によって生じた地域の環境問題は、複雑な様相があり、問題解決が困難であるといえる。