2019-01-01から1年間の記事一覧

今田先生「森林美学」講義第6回

今田先生講義録1964 北海道大学農学部林学科 11月25日 樹木の集団・配植 樹木は以上のように単木として美しさを」もっているが,また集団の集まった全体としての美しさを持っている。自然風景を観照する時は集団から美しさを取り出す必要あり,造園では…

今田先生「森林美学」講義第5回

今田先生講義録1964 北海道大学農学部林学科 11月11日 Der Aesthetische Wert der Horzarten樹木の美的価値(続き) 芽と葉 例えば新緑期には芽から葉が展開していく有様が美観をそそる。これは樹種によって特有の動きをする,その動きが美しい。 マツ,…

今田森林美学講義録解題

今田森林美学は講義に終始しており,著書として公刊されたものはない。これまで,森林美学に関して,歴史と批判の著者として著名ではあるが,ザーリッシュ森林美学の全体像をどのように考えていたかは明らかではなかった。小生も卒業論文の指導を受けていな…

今田先生「森林美学」講義録第4回

今田先生講義録1964 北海道大学農学部林学科 11月4日 Der Aesthetische Wert der Horzarten樹木の美的価値 森林の風致的効果は樹種が異なり,また,それぞれの樹木も単木を成す場合と森林を成す場合,また,集団の大きさによっても,それぞれ特殊なものを…

今田先生「森林美学」講義第3回

今田先生講義録1964 北海道大学農学部林学科 10月28日 Naturgefuehl 自然感情 我々が自然から受ける感情をNaturgefuehl 自然感情という。これは時代によって変化してきている。古代の人類は自然から美観を受けるよりも,宗教的な感情を持って自然を崇拝…

今田先生『森林美学』講義第2回

今田先生『森林美学』講義録1964 北海道大学農学部林学科 10月21日(水曜) Naturshoene 自然美 われわれは毎日多くの美しいものに触れている。ところでShoeneheit美 の」領域は様々な角度から分類することができるが,その中に芸術美に対する自然美とい…

今田先生『森林美学』講義第1 回

今田敬一先生「森林美学」講義録1963-1964 北海道大学農学部林学科 私が21歳であった時,今田敬一先生の「森林美学」講義を書き留めたものである。 今田先生講義録1964 北海道大学農学部林学科 10月14日(水曜) Forestaesthetik und Landshaftliche B…

ランドスケープと造園  

造園の始まりは庭園にあるとされる。 庭園はニワとソノが合成されており,そのどちらも古代になって生じた空間である。すなわち土地の占有が生じて,周囲を囲んだ私的空間であり,ソノは園芸の場とされ,ニワは仕事や儀式の場となる空間である。 古代社会は…

花壇の植栽

花壇に植栽される植物は園芸種が多く,花々は変化に満ち,高低,花の大小,形,色彩が多様になる。それらを区切り,囲いを作って区画を定めて,全体を構成する。囲いの周囲には園路を巡らし,花々の鑑賞に役立てる。区画の形態は整形式か自由な曲線を生かす…

土壌の乾湿

なぜかスコップを持って散歩する。ところどころで地面を掘るためである。掘った後は埋めておく。地面は土に小石,礫などが混ざっている場合,草本植物,一年生か多年生か,コケがあったり,裸地だったりする。 雨の後の地面は掘りやすく,また,泥濘んでいる…

源流域の石礫の風景 ー森林美学よりー

河川流域は多くの支流河川を本流に集合した本流によって構成されている。各支流もまた小さな支流の集合であり,それぞれの支流の出発点に源流域がある。人里に近い支流河川には源流域を日常,間近に見ることができるが,3面貼りの人工河川の奥の奥に隠され…

自然風景と災害

洪水は平野が水に浸かる状態となるが平野の自然風景の一端とも言える。その平野に人々が住み。水田などに利用しているとなると,自然災害となる。 河川に堤防を作り,河原や流路を堤防内に閉じ込めてしまえば,水に浸かる部分に人の住める部分を広げることが…

森林風景の再生 荒廃森林の手入れと利用

地目が原野とある土地は草刈り場として利用されていたのであろうか?特に植林されものではないのであろうが,ニセアカシアが育ち,大木となって倒木も生じて,荒廃した自然林の様相を示していた。クヌギ,ケヤキ,サクラなども生育し,下層にカエデ類なども…

農園風景 農耕放棄地の開墾

農耕放棄地の開墾は,森林放棄地の整理につながっている。農耕放棄地の植生遷移はやがては,森林化に到達するからである。農耕放棄地はすぐさま雑草畑となり,薮となり,蔓植物が繁茂し,10年近くなると,松本近郊でhニワウルシ,ニセアカシア,クワなどの…

秋分 朝夕の景色

朝の目覚めが遅くなって秋分で,夏への区切りが明瞭となる。我が友,岳も眠りが深い。といっても天気が悪く,日の出で起こされた訳では無かった。天気が良ければ,周囲の山の稜線からの日の出が南に向かって羅針盤の如く移動し,その起点から冬への移動がこ…

夜の散歩

朝と夜,毎日散歩する。犬の伴でもあるので毎日を欠かすことはない。毎日のことなので歩くコースはいくつかのコースに限定されている。人家を避けて周囲の果樹園の道を通る。斜面の果樹園に等高線に沿って3つのルートがある。上段,中腹,谷で中腹と上段は…

森林美学ドイツの起伏

森林美学第3版まで第一次世界大戦前に発刊されている。大戦後、メーラーの恒続林思想が出版され、ナチスの民族主義思想に利用された。恒続林思想の中に森林美学が織り込まれていたために、恒続林思想とともにナチスの思想として利用されることになったこと…