2015-01-01から1年間の記事一覧

景観模型からの風景意識への問いかけ

はじめに 景観模型工房は盛口さんの会社の名前である。造園学会が信州で来年5月に開催されるに当たって、盛口さんがこれまでに作った数千の模型から学会会場の展示スペースを一杯にする模型を運んできて展示したいという希望をお聞きした。この模型から風景…

森林遷移

植生遷移は一年草から多年草、樹木で構成される森林へと遷移し、森林の樹木が陽樹から陰樹へと更新する。1年草から多年草、森林までの多層な構造への変化は、植生遷移としてわかるが、森林を形成してからの森林更新を植生遷移と呼ぶのに躊躇する。

風景の背後にあるもの

風景は瞬間的に外界が印象づけられた主体の知覚である。瞬間の場面は、環境の一部となる視点場所からの外界であり、環境の全体像を俯瞰できる空間的な広がりがあり、空間的な広がりに存在する自然と人為の要素が知覚像を構成している眺めの知覚といえる。空…

森林の五感の知覚

近くの森林は農地、住宅地、とともに日々の散歩の場所である。住居からの散歩は行く場所が限られてくる。同じ場所を散歩しても、天候や四季折々に変化があり、出会う人も相違して、行くたびに新鮮な体験が生じる。住宅地、農地、森林の順に、季節による環境…

皆伐による森林喪失

近くの山地に出かけ、皆伐地を見かけた。周辺に残っている森林は密生し、人工林に広葉樹も混生してきていた。数十年生の放置ヒノキ林と思われる。伐採された木材は玉切りされて、積まれ、搬出されるのを待っていた。下層の木も取り払われ、伐採跡地の空漠と…

アルプス公園の樹林衰退

松本市のアルプス公園は拡張計画の委員会に参加していた。松本市発足の記念事業に緑化フェアーを誘致し、大々的に開設を祝いたいとの意図が、松本市から計画を委託されたコンサルタントにあった。しかし、市民代表などによる委員会では賛否両論で、対立し、…

竹林整備

松本の竹林には、ハチクを見かける。手入れが悪い竹林は密生して、太い竹でも曲がり、折れ重なっているのを見かける。林床は暗く、植生は何も無い状態である。道にまで倒れてくることもある。農業資材などにも利用されず、タケノコも採られないためであろう。…

地表変動論と植生の被覆

はじめに、 地表変動論は1979年に東三郎先生の書かれた論文である。これを、馬場多久男先生の南アルプスのカラマツ生育の消長に適用して、1995年に森林と土砂流出の循環的変動の考察の論文がまとめられた。地形形成と植生の消長が関連し、土砂の変動の中で一…

風景の創造

朝日が出てくるまでの一瞬から朝日によって風景の様相が変化する。平板な陰影は色彩を帯び、陽光によって膨らみを帯び、遠景に向かって近景から中景へと視線が連続する。それとともに、大気が息づき、場所から眺望へと広がる空間全体が見る主体と一体となる…

ザーリッシュのモットー

以下の銘は、 芸術と技工の相違が、林業芸術と林業技術の相違に当てはめた、 ザーリッシュの考えを示している。 林業を芸術たらしめるものは何であろうか? 銘: 未熟な頭脳には、それはいつまでも技工でしょう 優れた頭脳に、それは芸術です ゲーテ, ヴィル…

飛び口三か条

預かっていた飛び口を丸太が落ちて、折ってしまった。お詫びをする前に直しておこうと、森脇商店に持っていった。森脇商店の店番はとても元気なおばあさんで、ご主人が林業に携わり、その後、林業道具専門の店を開き、50年も続いているということである。 …