2010-01-01から1年間の記事一覧

景観と原地形

はじめに 景観の骨格は、植生であり、植生は地形によって条件づけられる。景観を復元しようとする時、原植生が問題となり、原植生に原地形が問題となる。景観を知覚して風景と意識することは近代的な個人意識によるものとすれば、個人の意識化にある風景を原…

京都北山の森林イメージ

はじめに 京都の原風景は、平安京にあることは確かだろう。京都の原風景は平安京によって改変された土地、森林と水の自然環境となった。しかし、平安京以前の農業開発が平安京建設の土台であることも確かである。川を堰きとめ、溜め池を作って、大規模な水田…

生駒山系の森林推移

はじめに 40年以上も過去に、生駒山系の周囲を巡って歩いた。田中氏の言うごとく、最古の里山とすれば、それから後の長い時代の変遷を経て、複雑極まりない様相を呈した山地であるから、当時、全貌を理解できたわけではなく、山地の部分、部分の状態を見た…

転ばぬ先の杖つくり

はじめに 転倒によって危うく大怪我となることが何度かあった。しかし、大事には至らず、後遺症ははない。若い時に鍛えた体力によるのか、不思議な力に守られているのかは、定かではない。高齢になってからの事故は、一歩誤れば、取り返しがつかなくなる惧れ…

景観の計画から科学へ

はじめに 都道府県や市町村では、行政の実行の上で、様々な事業が計画段階で、検討されている。三全総の時期に、地域計画学成立の期待から、住民のための計画に、計画の主体となるべき住民参加が盛り込まれ、今日では各種の計画に公募による市民参加は、一般…

軽井沢のカラマツ林の衰退

はじめに 軽井沢の風倒木を調査したE氏の要請で、軽井沢の森林に出かけた。軽井沢を代表するカラマツに風倒に多く、生じるのは当然と思われたが、行ってみてカラマツがとくに目に付かなくなっていることに、気がついた。風倒のために全滅したのかは分からな…

世界遺産の自然景観

はじめに 世界遺産に登録された日本の自然景観は、知床、白神、屋久島であるが、さらに南アルプスを追加したいという運動が、地元で行われている。世界遺産は、近代化による改変が世界に及び、旧来の古代文明を基盤とした成立した遺跡や幾多の文明の変遷のも…

枝垂れヒノキ

はじめに 近隣の霊園に変わったヒノキがある。数本のヒノキの葉が枝垂れている。広葉樹では枝垂桜や枝垂れ楓、枝垂れ栗などがあるが、針葉樹で枝垂れた葉は見かけることがない。モミなどの針葉樹の枝が、特に円錐形の樹冠を構成して、下降してついているので…

公園林と風致林

はじめに 風致公園をウィッキペディアで見ると「風致公園は、特殊公園のうち、主として風致(自然の風景などのおもむき、味わい)の享受の用に供することを目的とする都市公園であり、樹林地、湖沼海浜等の良好な自然的環境を形成する土地を選定し、配置され…

広域地方都市のコミュニティ構造

はじめに 広域合併の推進とともに、広域地方都市が各地に成立した。合併以前の市町村の自治体の経済基盤の衰退がその背景にある。合併によって、都市の拡大とともに、以前の自治体を包含する新たな自治組織が出現した。既に、都道府県の下位の地域として自治…

地域景観のための景観データ

はじめに 地域景観協議会が広域圏単位で設置され、景観形成の推進が図られてきた。住民の景観サポーターや協議会形成する団体の参加者に景観形成の経験が集積し、地域間の協力関係は進展している。しかし、知識としての蓄積は、年次報告やニュースのパンフレ…

風景のための景観工学への疑問

はじめに 知覚は感覚と意識を媒介する作用といえる。意識的な行動(行為は意識を外化する)は、外界を知覚によって認識する。自動車道路は自動車で走行する行動を目的として計画された空間である。自動車の走行には、滑らかな路面、路幅、速度に応じたカーブ…

カツラの生育条件

はじめに 中央アルプス、将棋頭の登山口が桂小場である。演習林の宿舎の敷地の大黒川に面した緩斜面にカツラの大木がある。大きく枝を広げた巨木で、樹下の夏の木陰は気持ちがよく、公開講座の野外講義の場所となったこともある。演習林で戦後、マキ材を索道…

冬木立

はじめに 秋の紅葉が枯葉となって枝にしがみ付いているかと思えば、強い寒気の朝になると、落葉となって地面を覆っている。樹林は陽光によって明るくなり、落ち葉とともに暖かい。木立は空に美しいレース模様を描いて、軽やかに天空に樹冠を広げている。風に…

森に埋もれた庭園

はじめに 庭は廃園となれば雑草が繁り、草木の成長の中に埋没する。庭を維持してきた人が、庭を維持する意欲を失って、放置すれば、たった、1年間放置しただけで、廃園の影が忍び寄る。高齢化社会の中で、庭が楽しまれるとともに、また、廃園も増加し、やが…

森林の更新

はじめに 人工林の皆伐作業による森林更新は植林である。天然林における森林更新はギャップの発生による天然更新である。林冠にギャップが生じることによって、下層の樹木の成長が促進され、やがて、林冠が閉鎖する。南アルプス亜高山帯針葉樹林のギャップを…

シラカンバ林のイメージ

はじめに シラカンバは市街周囲の山地には見られない。美ヶ原の山腹や霧が峰に行けば、見られる。北海道に住んで、未だ早春のの手稲山に上った時、一面ののシラカンバ林に被われ、その幹の周囲の雪が窪んでいて、とても珍しかったのを覚えている。しかし、ロ…

生駒山地 スカイラインの眺望

はじめに 生駒霊園に父母の墓があり、姉夫婦、甥夫婦とともに墓にお参りした後、時間が少しあったので、信貴生駒スカイラインを往復することになった。40数年前に生駒山地の緑化の調査を行っていた頃から始めての通過である。 信貴生駒スカイラインは、日本…

自然環境再生の緑化技術

はじめに 山寺先生より「自然環境再生の緑化技術」を送っていただいた。4章で構成され、まだ、1章を読み終えたばかりだが、電車の中で一気に読んだ。地球環境における砂漠化を緑化によって防ごうと努力されている先生の意気込みに押されたせいであろう。 地…

アカマツ美林の衰退

はじめに 十年前に見たアカマツの美林が、現在、哀れな姿となり、枯れ上がった樹冠がまばらとなり、幹は日焼けして白っぽくなっている。松枯れ病対策のため、切られた木があちこちに見られる。(アルプス公園)一方、曲がりくねった低いアカマツで荒れた山が…

緑の会の15年の活動の成果

はじめに 公民館の文化祭に緑の会15周年の活動が展示されるという連絡をいただき、出かけ、緑の会の人々とお会いした。発足して4年目くらいから、私も緑の会活動に参加してきたので、15年の活動の歴史の一端にある。私は作業も行ったが、活動の計画は地元の…

森に入る人々

はじめに 森に入る人々は森を受け入れた人といえるのではないだろうか。その森はどんな森なのか。そしてどんな人なのか。いや、どんな人かには関係なく。森を受け入れた人にちがいない。森自体が、受け入れる人の共通点、共同の意識を生み出しているといえる…

森林の開発と保全の戦後の過程

はじめに 森林資源を、森林面積と森林蓄積によって見積もるとすれば、その増減は、開発による森林面積の減少、土地利用の衰退による森林化での森林面積の増加、林地の放置と育成による森林成長と森林蓄積の増加から考えられるであろう。開発による森林破壊は…

散歩のシークエンス・場面構成

はじめに 散歩するにつれて、眺めは変化する。シークエンスは歩く場所によって区切られ、場面の転換が起こる。30分の散歩のシークエンスでどれだけの場面転換が生じたのか、数えると、15回、新たな場面に遭遇している。平均、2分間の場面である。映画の映像…

森への働きかけ−森林美学体系構築に向けて−

はじめに−森林工学科廃止の意味 K先生から送られた本をこれから、読むに当たって、林業工学による森林美学への展開が主眼とされている。大変楽しみである。しかし、私の所属した大学では、全国唯一の森林工学科があったが、分離した林学と合体して全国初めて…

恒続林の条件と造成

はじめに 恒続林は森林美を実現し、施業林の美を追求する森林美学と一致する。今田によれば、森林美学の目標は功利と美と調和であるという。そして、その目標は恒続林によって実現するという。森林経営者は、林木の成長を収穫を目標に、日々、森林を見ながら…

森林と林道開設

森林利用にとって林道開設は不可欠なものとされている。大型林業機械の導入が、伐出作業の効率化のために普及してきている。機械の導入には作業のための林道が必要となり、その林業機械を移動させる幹線道路も必要とされる。 1970年代の林業には、自動車の普…

森林の機能と生態系サービス

はじめに 森林は利用されなくなり、放置され、都市の生活環境の改善のために樹林の機能に期待される状態となって久しい。わが国では、戦後、植林と天然林の回復で、有史以来の森林蓄積を保有しているとも考えられる。開発によって森林が破壊されていた高度経…

南アルプスの山村景観と風景

はじめに リニア中央新幹線の直線ルートが経済効果から国土交通省交通政策審議議会中央新幹線小委員会で確定してことが10月21日の新聞で報じられた。路線は甲府から飯田まで南アルプスを貫くことになる。経済が停滞し、国債赤字解消のために公共事業も縮小す…

近隣生活空間への意識

はじめに 住宅地を散歩して、工夫されたデザインで手入れが行き届いた庭を多く見ることは散歩の楽しみである。早朝には散歩する人、ジョギングする人に行き会い、やがて、通学や通勤の人々が行きかい、少し遅れて、犬を連れた人に行き会う。 住宅地の住人の…