2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

アルプス公園の公園林施業

はじめに アルプス公園は1974年に開設された松本市の総合公園であり、当初の面積は約29.3haであった。2007年の市制百周年の記念事業を目標に公園拡張が計画され、40億の費用をかけて、72.7haの公園として再整備された。計画に当たって、拡張部は里山であった…

森林美学の美学とは何か

はじめに ザーリッシュの森林美学には何人かの美学者の名前が上げられる。しかし、ほんの僅かに名前の上がったヘーゲルなどの著名な哲学者以上に、牧師のギルピンの引用が多い。哲学者と牧師の美を論じる違いは何であろうか。美は高踏的な哲学の問題ではなく…

林道網と森林区画

はじめに ザーリッシュの森林美学に林道網と森林区画を論じた章がある。林業経営上、森林区画を長方形と等しい面積に区切ることのメリットを述べた上で、曲線道路に対応する改良の効果が考察されている。これは、南箕輪村大芝村有林の生活環境保全林整備事業…

風景と背景

はじめに 風景は絵画的構成で意識される知覚であり、環境の中で行動して注目される事物を環境全体の一部として認識しようとする時に生じると考えられ、その点で環境の眺めと言ってよいと考える。環境の眺めを絵画的に構成するなら、眺めの中心となる対象物と…

素性の良い木と美林

はじめに 間伐の選木に次代に育つ質の良い木を残すことが眼目の一つである。その質の良い木を「素性が良い」と表現される。どんな木なのかといえば、木材として良質な材がより多く取れるということである。量的な点からは、樹高が高く、幹が太いことであるが…

森林に適合した庭園

はじめに 国営公園の中に、庭園を造る話があった。東京の昭和記念公園には庭園が作られ、利用者の人気も高いということである。万博記念公園にも日本庭園がある。古くは明治時代の京都勧業博覧会に平安神宮の小川治兵衛による庭園がある。都市の大公園に庭園…

地方都市の緑の基本計画

はじめに 都市公園整備緊急措置法は新全総の時代に、施行され、生活環境の水準向上のために、図書館、下水道とともに増設していくことが決められた。都市人口当たり、公園面積をどれだけ確保するかが、目標として掲げられた。しかし、都市の地価が高騰してい…

農学部の構成と森林科学

はじめに 大学の農学部は農業における科学的な基礎を究明するために創立されていったのであろう。しかし、その基礎が生命科学とされていくと、土地から離れて、農産物から食品に興味の中心が移っていくようである。それとともに、林学は木材生産から森林環境…

地学景観の眺望

はじめに 先日、南アルプス世界遺産の資源評価項目検討の会議に集積した。自然科学と自然景観・共生に分かれ、自然科学は地学と生物(植物・動物)で構成された分科会で検討がなされた。それを総括した全体会で、地学の分科会の結論は、論理的で南アルプスの…