2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

風景の模型(8)子供の世界

はじめに 大人になって、子供の時代はなつかしさだけで、現在の自分の一部であることは忘れている。それが潜在意識となって現在の自分に作用していると感じる時、原風景という言葉が使われる。原風景には何か明るさがないが、強くそこに回帰させる引力が働く…

命育む農業

はじめに はるばる農園より 生みたての卵は透き通っている。戦後、社宅住まいの庭では鶏を飼い、カボチャや野菜を育て、道が麦畑になっていた。行き始めた小学校では校庭にサツマイモの畑があった。毎朝、野草を刻み、貝殻を砕いて、鶏たちの餌を作るのが、…

建築計画学入門ー生活空間の仮説構造

はじめに 教科書とされる建築工学ライブラリーの一冊として「建築計画学入門」が出版された。著者の一人から何年も前から取り組まれていることをお聞きしていたので、大変、出版を楽しみにしていた。先生から初版の本を贈っていただき、すぐに、ページを開い…

森林美学から森林風致への過程

はじめに 日本にドイツ林学とともに森林美学が導入され、日本の森林育成と林学の展開の中に、森林美学を技術として役立て、林学の一分野とする主張が、田村、上原によって叫ばれ、田村によって、「森林風致」として展開がなされていったことは、清水が[戦前…

風景の模型(7)森の模型による生活空間と森の風致

はじめに 8月22日に亀山先生の退職記念・同窓会が開かれることになった。森の口さんから一緒に飲み明かそうと、松本に泊まってくれるとの連絡があった。折角だから、模型展示を種にいろいろ話したいので、企画を考えようとの話である。そこで、考えたのが…

林内空間の構成要素−仮説の森林構造(2)

はじめに 清水ブログの森林風致の構造図から、林内環境と林外との関係が明らかにされている。林内環境を知覚することから、森林風致を判断する応答が成立してくるという構造図が成立している。森林風致の判断において林内の森林空間は、様々な側面から判断さ…

林冠と樹形−仮説の森林構造(1)

はじめに 間伐方法に関して記述を進めようとした時、経験と知識の範囲を逸脱し、空想的な仮説に至っていることが心配になってきた。荒唐無稽なドグマとなりそうである。しかし、色々な疑問が生じているので、疑問に対する推論の仮説として自由に森林空間論の…

現代文明の擁護ー仮説の社会構造

神部さんのメイルとその回答 もし伝統文化という者が 「おてんと様に感謝する」という自然崇拝なら、それは近代文明より未開で 遅れた文化なのでしょうか? お天とう様に感謝することは、小さな頃からしてきました。朝の太陽に向かって手を合わせること、ご…

風致林育成のための間伐方法の検討

はじめに 間伐、択伐、画伐、保残木作業は、収穫と同時に森林育成をはかるものであるが、それぞれの作業の伐採効果はどのように相違するのであろうか。また、その作業は林木の密度調節として、密度をどのように変化させるのであろうか。また、この密度調節に…

雑草の風景

はじめに 土田先生が以前、著書となった帰化植物の図鑑を下さった。アルプス公園や近くの墓地に雑草が目立つようになったが、帰化植物も多くを占めている。墓地はこの春に再整備がされ、芝生が張られた場所に数種の雑草が侵入し、芝生を弱らせようとしている…

風土における造園−仮説の社会構造

はじめに 風景は環境の視覚的な表層であるとすれば、主体にとっての意識的表層と物理的環境の表層を包含していることになる。意識の表層の影響を左右する深層の意識は経験の記憶、体験の原風景を上げることができる。物理的環境の表層は時間的な瞬間、環境の…

アーバニズムにおける造園−仮説の社会構造

はじめに アーバニズムが何か、Wikipediaによって調べてみた。庭園デザインがアーバニズムに即しているか、いないかをを問題にする人がいたためである。引用をすれば、シカゴ学派社会学者ワースが知らしめた概念で、都市の集団的生活様式を意味し、人間生態…

森林美学の背景(3)森林美学に登場する人物

はじめに 森林美学第二版にフォン.ザリッシュが引用、参考に上げた人物は多義にわたっている。フォン.ザリッシュの教養と森林美学著述への問題意識の上で、当時の時代(19世紀中葉から20世紀初頭)の中で、取り上げられなかった人物の名前も含めて検討す…

日本の庭ことはじめ5 デザイン論の構築

はじめに 庭のデザイン論に取り組むことになることは、全く、覚悟が足りなかったようである。他の人が取り組むことに期待していたのだが、期待通りにはいかないものである。なお、その上で、建築環境デザイン理論の先鋭的な研究者にデザイン理論構築の助力を…

ドグマ批判―仮説の社会構造

はじめに 仮説の社会構造自体がドグマであるが、ドグマを脱するために、これまでの多くの人の学究に依拠しなければならない。しかし、学究の中にもドグマが含まれるから、学究の系統的な展開から検証していかなくてはならない。その系統的展開を見ていくには…

造園の立場―仮説の社会構造

はじめに 私の専門は造園学ですと、名乗って40年あまりを過ごした。大学では産官学の協同が言われるようになり、学会の構成にも、計画家、行政官、大学の教員が加わっている。しかし、最大の造園需要となる一般生活者は加わっていない。造園の生産基盤は、こ…

工芸と工業社会―仮説の社会構造

仮説の社会構造 われわれの日常生活は、社会構造の一部であるはずなのに、社会構造は混沌として見えてこない。子供が自然の現象を体験して、疑問を抱き、その原因を推理して、勝手な自然観を空想する。現代人も様々な情報を持ちながら、明確な世界を見出せず…

風景の模型(6)模型空間の中へ

はじめに 昨日、森の口さんから、森林風致計画研究所に関するある模型を送って下さると連絡があった。どんな物かは今は想像するだけである。模型を想像するのではなく、森の口さんの表わそうとしたイメージが何かを想像している。森の口さんは最近長年、夢見…

超巨大開発と自然保護

はじめに 先日、かって南アルプスの自然保護運動を共にした仲間から連絡があった。まだ、開発に立ち向かって自然保護運動を展開する気力があるだろうかという問い合わせであった。昨日は、その開発の全容が明らかとされつつあり、その開発地に直面した場所に…