2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

小さな自治体

はじめに 数年前に、自治体の経済的困窮のために広域合併が各所で勧められた。上伊那地域では長谷村と高遠町が伊那市に合併した。長谷村の人口は2000人台で、伊那市の地区人口の規模であったが、戦後の町村合併以降、独立した自治体として持続してきた。南ア…

風景の背景と前景

はじめに 梅雨明けとともに夏空が広がり、青空の雲が自由な模様を描いている。夕日に入道雲が立体的となって、あたかも空の主役のように目立とうとしている。雲は空に奥行きを与え、一様な青空を背景として白い雲は空の主役である。しかし、地上と空は隔絶す…

日本風景論からの脱却

はじめに ヨーロッパにおいては、ルネッサンスにおいて風景は発見されたものといわれる。中世から近代への転換点となるルネッサンスに登場した風景は、近代の条件と結合しているといえる。それゆえに、日本も含め、後進国の近代化は風景の知覚を広めることに…

風景視点または風景のまなざし

はじめに 西田氏が風景視点の転換に関して、論陣を展開していることを、環境研究に掲載された「新たな風景視点」を読んでわかった。近代の風景知覚がロマン主義の思潮などに基づく一定の知覚方法であることは認められてきているが、西田氏の現代の多元的な世…

地域計画と流域管理

はじめに 大学に入学した年は、安保改定をめぐり、学生のストライキとデモなどのため、講義の受講も出来ない状態であった。新入生も政治運動に目覚めて、デモにも参加することになった。岸内閣の退陣と池田内閣の成立は、こうした政治的混乱を収束させ、所得…

森林浴の成立

はじめに 森林浴という言葉は、造語であるにも関わらず、相当一般化している。木曾赤沢の自然休養林で、当時の林野庁長官の秋山氏が森林の自然休養を「森林浴」と称したことによるとされている。森林浴は海水浴に類している。また、温泉浴にも類している。英…

風景における森林風景

はじめに 風景は作ることが出来ない。地域における人の営みが生み出したものであり、それを知覚したときに風景を意識するものである。柳田國男は風景の成長でもって、農民の営みが作り出した風景を単純に楽しむ都会人を批判した。造園はランドスケープ・アー…

園芸と造園

はじめに 日本における造園と園芸の乖離は明治からあったようである。あるいは江戸時代から存在していたのであろうか。日本庭園には、ほとんど園芸の植物は使われておらず、西洋庭園が洋式生活とともに、導入され、西洋の園芸植物も導入されてきた。西洋庭園…