2013-01-01から1年間の記事一覧

土手草の多様性

はじめに 山間地の水田には水田と同じくらいの面積の広い土手が存在している。圃場整備の遅れとともに、水田の土手には多様な植生が存在している。その植生は遷移を退行させるような農家の管理によって維持されてきたものである。草刈の時期や回数、方法が農…

森林は何故一様か?

はじめに 松本市街周辺の山地の森林は、標高上部にカラマツ林、下部の尾根、南斜面にアカマツ林、谷部、北斜面に広葉樹林とヒノキ林とわずかはスギ林

庭から生活空間へ

はじめに 田村の造園概論は日本の造園学発祥の時代に出されているにも関わらず、造園学に原論の不在が嘆かれて久しい。田村の造園学は一般の造園の実践が成熟せず、和風庭園から戸外室への転換が庭の様式として考えられる留まっていたことによるのではないだ…

植生遷移と天然林の構造

はじめに 森林構造と森林遷移との関係に以前より理解ができないでいた。森林構造は空間構造であり、林学の立場で使われ、森林遷移は時間的変化として生態学で問題とされる。この両者がどのように接点があるかという疑問である。人工林の空間構造は植林し、手…

松本・緑の基本計画と風致

はじめに 松本市の緑の市民会議に公募委員として参加することになった。市内を一日も欠かさず、6年間、散歩し続けている市民として、松本の環境を体験していることを自負している。 松本の緑の景観は住宅の庭や境界、寺社の境内、松本城、河川、周囲の農地…

街路樹の意義

はじめに 都市の真夏の緑陰に樹木は欠かせない。街路のアスファルトは熱を帯びて、都市を加熱して、風さえも遮断するかのようである。秋になると酷暑を忘れて、街路樹の落葉はゴミとして嫌われ、まだ、紅葉もしないうちに剪定が急がれる。 以前、街路樹の無…

天然林への対処

はじめに 天然林は人工林に対比する言葉であろうか?人工林も上層の植林木に対して、下層は自然植生が生育する。天然林も人工の及ばない天然林はほとんど存在しない。そこで、原生林を天然林から区別しよとし、厳密な意味の原生林、人類が介在しない森林が存…

河川敷地ニセアカシア林の森林管理

はじめに ニセアカシアはなぜか嫌われている。たしかに若い木はとげがあり、また、除去しようとして切っても、萌芽して絶やすことは難しい。しかし、花は美しく、匂いも芳しい。蜂の蜜源にも貴重といわれる。相当の巨木となり、木材として利用できる。最近、…

中庭の成長と終末

はじめに 中庭に黒いハチのような虫が棲息し、毎年、数日は飛び交っている。今年もそろそろの時期となっている。5月には雨が降るたびに小さなミミズが大群となって植え桝からはい出してくる。住民はその除去に追われるようになった。また、コウヤマキが成長…

イメージの力

はじめに 盛口さんは海外の博物館関係の研修生を受け入れて景観の模型の作成を指導している。長年、研修生を受け入れてきたので、世界中からの研修生がそれぞれの思い出深い風景を景観模型として作り出し、それは壮観という他は無い。 昨年は盛口さん自身に…

人と庭・庭と自然

はじめに 岡田さんは造園家の立場で著書「日本の庭」を出版し、多くの読者を得ています。 庭は造園家のどのような考えで作られたのか、作られた庭はそこに住んだ人の生活にどのように関わるのかが、何人かの造園家と住んだ人との関係から説かれています。 さ…

県民の森の森林管理

はじめに 長野県で明治百年記念事業の森林公園の計画が始まったのは昭和45年ころであり、県有林の中から適地の選択が行われ、松本市三城の県有林が該当地となった。私は当時、信州大学農学部に赴任したばかりであったが、長野県の職員の方々に加えて頂き、「…

天然林の造成

はじめに 明治神宮は天然林を造成しようとしたものといえるだろうが、それが成功であるかは未だに結論がだせないのではないだろうか?言葉を問題にする人は、造成した森林は人工林ではないかというだろう。自然の回復によって成立した森林は天然林と言っても…

造園学と景観計画

はじめに 造園学とは何であろうか、昭和初期に上原敬二の努力によって、学会が設立され、田村剛によって造園概論が書かれている。多く自治体で景観計画が策定され、景観行政団体の認定がなされてきている。その景観計画策定委員会に参加を求められることが何…

森林における植物多様性

はじめに 森林が植生遷移の過程で成立する植物集合体である点で、構成する植物の種類が多様である事はどんな意味があるのであろうか?遷移過程の中で出現する植物の種類の合計種数と各植生状態に出現する種数との関係はいかなるものであろう。森林自体が単一…

林冠層と低木層

はじめに 林冠を構成しているのは高木層の樹冠であり、その葉のある枝による厚みは2〜3mほどであるが、これは低木層の高さである。 下層の低木層は高木層の林冠の隙間を縫って生育している。下の写真は高木層のニセアカシアの倒木によって残ったケヤキによ…

森林風致研究所の活動領域

はじめに 2007年にNPO森林風致研究所が発足して以来、何を活動領域として社会に貢献できるか、社会的要請はどこにあるのかが、総会の度の議論であったが、7回目の総会の時期が迫っている。 研究所の設置目的は定款にも掲げているが、この6年間に研究所で実際…

翻訳の校正

はじめに 古い古典を理解したい。その著者を理解し、その考えを自分のものとして共有したい。ドイツ語の著書が英訳され、その英訳を和訳する作業に、現在、全文の校正を進めている。多くの訳者による翻訳は用語もまちまちで、訳者による意訳がなされる場合も…

農地の孤立木

はじめに 農地の中にある孤立木の樹形は風景の一部となる。農地の中に孤立した樹木を残していること自体が風景の点景であるが、その樹形が風景となる。冬の枯木立は特に際立っている.