2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

自然保護と林業

はじめに 自然保護と林業開発の対立は、戦後直後から生じてきた。林業が対応する木材資源が枯渇し、残された資源を奥地の自然環境に求めようとしたために生じたことである。しかし、それは林業に限らず、電源資源、鉱物資源などでも自然保護に対立した問題で…

庭園論

はじめに 庭園という言葉は、漢字の音であるが、日本語の訓ではニハとソノから構成されている。日本語の訓は古代より、日本書紀にも出て来るということで、以前よりこの言葉を巡る論議が行われている。中村先生は、「庭園」に「島」が当てられていることから…

単木と木立の樹冠

はじめに 冬の木立のシルエットは、枝が重なって網の目となって空に浮かび上がる。単木の樹冠は円形に広がっているが、木立も群の樹冠は単木の樹冠と同じように円形に広がっている。自由な空間に精一杯枝を広げているようである。幹について一つ一つの枝はそ…

外国への理解

はじめに 日本人には日本語が通じる国内が最も過ごしやすい。また、生活の蓄積は日本のことを広く深く意識する。それなのに、外国を意識し、外国へと旅立つことを願う。外国は国によって異なる言葉を持っており、それぞれの文化と歴史によって特徴づけられて…

辺境の旅

はじめに 現代には辺境は存在しない。地球は丸く、どこにも人が住み、情報は行きかっている。最果ての地を求めて旅したことが若い頃、何度かある。知床、奄美、与那国、小笠原がそれである。しかし、やはり、最果てや辺境は無く、海や国境の隔たりはあっても…

林内の樹冠と風

はじめに 風によって樹木が動く様は見飽きないものである。特に強風によって樹は全体的に激しく動き、風の吹く方向や強弱の変化を形にしてみることが出来る。昔読んだ長塚節「土」の中に強風に揺れる樹林の様子が描かれている。冬の木立には、木枯らしと言わ…

林内と林縁の樹冠

はじめに 林内の樹冠は高木となれば過密となって上部に枯れ上がってついている。広葉樹は枝が梢となって樹冠を作り出している。林縁の樹冠には開空部には下枝が残り、丸く張り出している。林縁の樹冠はその樹種の樹形の特徴が現れる。 ブナ林内 林内の樹冠 …

樹林の風景

はじめに 森林は樹木が集合し、土地を含む空間を構成している。森林の定義に林学者も苦労している。樹林の定義も同じように困難となるかも知れないが、一応、森林の中でも森林を構成している個々の樹木が見える小規模な森林、または、大規模な森林を構成して…

夜の風景

はじめに 夜の風景は人工の明かりの煌く夜景、星空が上げられる。しかし、見る場所が自然と都会であるように、星空に夜景は相容れないようである。人工の明かりは空にまで放射された、夜空を隠し、微かな星の光は、人工の光に隠されてしまう。天空と地上に、…

森林保護2

はじめに K先生のコメントから略奪林業、育成林業という区別を学生の頃の講義で聞いたことを思い出した。育成林業という言葉に林学を学ぶ大きな意義を感じた。しかし、略奪林業という言葉は理解できなかった。木材を略奪された森林の跡地は、森林が自然再生…

森林美学の背景(2)

はじめに フォン・ザリッシュ(1846-1920)は1866年、エーベルスワルド山林学校に林学を学び、森林管理に携わり、林業経営を自ら行って、1885年に森林美学を著した。エーベルスワルド山林学校は1830年に創設され、その創設には林学の創始者のハルティッヒが関…

農学への混迷

はじめに 私が大学で農学部を志望した理由は、不明確であるが大きな期待を持って進学したことは確かである。高校までの悩みであった個人の自立によって如何に生きるべきか。これは両親からの自立であるなら、職をえる手段として大学で学ぶことである。しかし…