2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

都市の広場と公園、都市林

はじめに ヨーロッパの都市には広場が必ずあるといわれているが、また、日本では広場が無いと言われ、わずかに、江戸時代に防火のための空地に人々の集まる場所があったことなどが取り上げられる。古代のギリシャから都市と広場が存在した点で、市民社会の成…

造園空間

はじめに 造園の対象とする空間の範囲はどこまであるのだろうか。オープンスペース、あるいは緑地に含まれる空間がその範囲であるだろうか。緑地やオープンスペースには、自然環境に広がって、その限界はなさそうである。造園が生活空間を形成する技術であり…

庭園の物理的自然と生物的自然

はじめに 小学校の教科書の理科の内容は忘れたが、身近な自然の物性を知り、目が開かれ、科学的方法の一端の価値に触れたといえる。生物学では水槽で魚を飼うのは楽しいものだったが、蛙の解剖は、気持ちを悪くした。子供の頃、直接接していた自然物は、生物…

子供と空−老人と海−

老人と海は、年取り、引退した漁師が漁師ではなくなり、ただ老人となっている。老人には海は様々な体験が積み重なった自分の世界の諦観であるのだろうか。日本では、農家の庭は隠居した老人のものであった。農地の景観は生産の場をむき出したような眺めであ…

老人と海

はじめに 老人と海はヘンミングウェイの小説であるが、若い時に読んだだけである。老人の漁師は漁師が出来なくなれば、ただ、老人となるばかりである。老人となって海を眺めているだけの老人。老人にとってそれは海ではなく、山や川であっても、あるいは空で…

文化都市松本

はじめに 松本は近代登山とともに、観光都市として発展していた。しかし、自動車交通の進展は上高地の混雑をもたらすと共に、松本の登山客を激減させた。さらに、松本城、浅間温泉などの観光客を減少させ、中心市街は空洞化によって一層閑散となった。空洞化…

現実とユートピア

はじめに 19世紀初期に現れたユートピア思想家が、産業革命期の社会的対立を克服するために活動したことは明かなことである。資本主義経済の進展とともに、ますます増大する労働者とその貧困状態が、資本家に対する改善要求の運動を引き起こしたのは必然的…