2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

森林風致 森に住む人々

ソローの「森の生活」は多くの人に読まれた本であろう。時にブームが再来して店頭に並んでいたことがある。19世紀前半のアメリカで「森の生活」が何故、書かれ、また、多くの人に受入れられたのか、文学史で論じられているだろうが、定かにはわからない。以…

風致と風景 自然公園の風景

日本の国立公園という本を買った。昨年に発行されていて、昭和32年の自然公園法から50年に当たるという。昨年、尾瀬国立公園の指定があり、国立公園は29となったという。これまで行った事のない国立公園は北海道では利尻礼文サロベツ、本州では、陸中海岸、…

森林風致 風景の抽出

森林風致は、林内の多様な環境、環境要因の相互関係の作用にによって生まれる知覚と知覚を通じての認知作用によって生まれるものであることを、清水の研究論文が明らかにしている。単純な感覚、視覚単独によって森林風景を判断することとは相違している。そ…

場所と場面の構造 地の果て

人は何故、旅に出るのか。若者はとくに旅に出たがる。私もかってそうであった。自分が経験したことのない未知な世界を見たいと考えたのか、そればかりではなかった。未熟な自分に我慢できなかったせいかもしれない。自分の環境に閉塞し、そこから脱出する努…

森林風致 サクラの風景

私は小さな頃、サクラを見た記憶がない。サクラで作った机を使った記憶があるだけである。いつごろにサクラを意識したのであろうか。札幌にいた時、春になって山の緑の間から白く、ピンクの樹冠が緑の中に点在している風景からであろうか?花見などの経験も…

森林風致 ツツジの風景

田中正大の「日本の自然公園」の中で雲仙高原の風景を彩るウンゼンツツジが放牧の停止とともに衰退し、アカマツ林に移行して高原景観が失われていったことを取り上げている。阿蘇の裾野の草原は通貨しただけであるが、ススキ草原であり、ツツジは目につかな…

森林風致 循環的利用

森林は再生可能な資源であり、環境を持続させる上で大きな効果を発揮したことは、誰もが認めているだろう。森林の再生を利用して循環的な木材生産のシステムを完成させたのが、ドイツ林業であり、その理論が林学として追求された。ヨーロッパでは、小麦の生…

風致と風景 時の光景

時間・空間は事物の存在の形式としての4次元である。事物の過去の時間経過の相違は、現在の空間に反映している。事物の物性によって、風化するものと成長するものとの差異が生まれる。すなわち、鉱物は風化し、樹木は生長する。あるいは人工物は風化し、耐久…

場所と場面の構造 時を旅する人々

タイムマシンは空想映画の道具立てに使われることが多い。しかし、様々な時代を扱う映画は、それぞれの時代の史実を空想的に映像化している。映像によって様々な時代の空想的な映像を、ドラマの状況に従がって体験する。東洋と西洋の様々な時代、歴史的な岐…

森林風致 山林風景

山地風景の山林風景へと変貌が、各所で起こってきたこと、江戸時代に山地の保全のために、森林の利用規制を行う必要があったことは、景観、林学で取り上げられてきたことである。しかし、それは歴史的ことではなく、戦後まで、山地風景が残る地域があったこ…

風致と風景 山地風景

山は森林で覆われていることは、平地に住んで山を眺める人には当然のように思われている。逆に森林が山にあることも当然と思われて、山林という言葉となるのであろう。平地林や河岸林、湿地林などは、珍しいものと思われるのである。しかし、山にも森林がな…

風致と風景 農村風景

農村風景とは、農村住民にとっての農村景観の知覚なのであろう。柳田國男は農村景観を農村住民が生み出す過程について言及している。開拓地における残された樹木が風景として住民の生活の中で成長していく話である。また、勝原による「農の美学」の著書も見…

場所と場面の構造 農村地域の持続

これまで長年、地域活性化で関わった富県区を中心に、農村地域の環境持続について考えてみたい。地域活性化が問題になったことは、農村地域の危機を示している。山村地域で過疎問題が言われ、それを乗り切る上で、村おこしが取り上げられた。長谷村では村お…

場所と場面の構造 市街の形成

山村の中にも町があることを、見かけて感心したことがある。農村生活の拠点として都市から隔絶した山村には、かえって都市機能が必要であるのだろう。居住環境として自立的に存在する必要があるといえる。村々が街道で結ばれ、その中心集落には生活拠点とな…

場所と場面の構造 快適な居住環境2

ゴミ処理施設は集中的なゴミ処理の施設として大規模となっているが、それとともに用地が設定された地域では各所で住民の反対が起きている。処理場建設による影響を危惧し、居住環境を守ることは住民の当然の反応であるが、秋月氏が講演で述べたように、処理…

森林風致 林業経営

森林美学は施業林の美において追求された。雑木林には、雑木林としての美があるが、薪炭林として萌芽更新の中林作業を行い、その結果生まれた広葉樹林に、都市住民が美を感じたといえる。竹林にも同様の美がある。こうした雑木林や竹林が、利用価値を失い、…

森林風致 森に入る人々

森に入る人々を思い起こすと、山は山菜採りに入ると先に来ている人が多く、山菜が取れずにあきらめたことがある。これは地域住民であろう。次に登山者、ハイカーがいる。山岳や高原などの、登山路やハイキング道で見かける人たちだ。ハイキングも地域住民の…

風景の主体 民主主義の発展

ゴミ中間処理施設用地選定委員会で候補地の住民の理解度を評価するために、住民の意向調査が必要との意見がだされた。そこで市の事務局では、市報に挟んで全市民に配布し、意見を求める案を作成し、この案を検討した。 広域連合としてゴミ中間処理施設の更新…

場所と場面の構造 場所の概念

人を主体として形成された範囲が環境とすれば、その環境は主体の生活の場面の総体によって構成されているといえる。場面によって環境が知覚されるが、環境の総合化された眺めとしての風景の知覚は、視界の広がりが必要である。風景によって知覚される地表の…

森の内、森の外 はじめに

「森の内、森の外」の様々なテーマについて、「はじめに」がないという指摘をうけたので、遅ればせではあるが、問題意識と総論を述べていこうと考える。コメントもできないと言われて、ドグマとなるならば、公開の意味もなくなってしまう。これでいいのかと…

風致と風景 農村風景

農村風景は都市の周囲に存在しているが、郊外の混住地域に隔てられ、幹線道路沿いには延々として市街が取り囲み、純農村の風景に接することは少ない。混住化の程度の少ない農村地域も生活の都市化の影響は集落の建物に古い建物が一掃されて見られる。家屋に…

風致と風景 山村住民の風景意識

オーストリアにチロル地方がある、先日、長野県は日本のチロルということが、2回話のなかで出てきた。私はオーストリアに行ったことはないのでわからないが、アルプスを含む山岳地域であるようである。伊那にもマッターホルンを愛好するグループがあるよう…

風景と風致 風景概念

風景概念は様々な専門から取り上げられており、風景に関する著書も数多く、出版されている。哲学、文学、絵画、造園、土木、都市計画、建築など広く上げることができる。日常的な環境の知覚経験である点に普遍的な課題として、人々にアッピールする概念であ…

風景の主体 住民の意向

国と都道府県、市町村とは行政組織として中央集権と地方分権とをつなぐものとなっている。しかし、国と都道府県の中間に地方、都道府県と市町村の間に広域の連合組織が機能し、より複雑な関係が生まれている。都道府県を包括して、道州制をという論議も生ま…

森林風致 森林美

森林を最初に美を感じたのは、北海道の落葉樹林を秋に歩いた時であった。様々な樹種の葉が重なり合って、光を透過させて、林内は暖かな光に包まれ、その中にいることに幸せを感じた。しかし、そうした体験はもっと幼い頃、山のアカマツの幼樹の初夏の芽吹き…

場所と場面の構造 快適な居住環境

それぞれの人の居住環境は、戸内と戸外によって成り立っている。戸内は住宅建設に際して、一定の空間的条件に即応した機能的な生活基盤とともに生活の快適さが計画されているだろう。戸外は敷地内で庭として計画がなされるが、戸外の自然的条件に適合する必…

風景の主体 野生動物

昨日、中央アルプス千畳敷に出没するニホンザルに関する集いがあった。NPO法人アルプスAYUDAが企画したもので、AYUDAは、登山ガイド組合を母体として自然保護に関心をもって作られた法人である。中ア・南アにおける自然保護、登山利用者への自然体験の啓発(…

風致と風景 上信越高原の風致景観

国立公園の管理計画の検討に当たり、風致景観という言葉が出てくる。風致的景観なのか、風致と景観なのか定かではない。風致的景観ならば、風景という言葉でよいと思うが、風致と景観を分けて使いたい理由があるのかもしれない。確かめてみる必要があるだろ…

場所と場面の構造 混住地域

都市の郊外は、都市拡大の先端となるが、道路整備による線の拡大がやがて、幹線から支線が伸ばされ、住宅地として面が満たされると、さらに郊外が拡大していく。すき間を残して都市が拡散していく様は蚕食(スプロール)と表現される。蚕食される面の広がり…