森林の定義と風景

 森林は土地を被覆する植物・樹林を中心とした生物の集合体であり、人間の視覚にとって地表の風景要素である。この森林要素を地表の浸食、崩壊や人間の様々な土地利用によって、森林が失なわれ、原生林の後退と回復による二次林によって、または植林による人工林と育林、収穫による循環的利用による変貌が見られる。

 というわけで森林といっても大小、壮齢、若齢、樹種の多様な森林が生じている。しかし、原生林からすれば、数百年の原生林の循環的な更新の系列は、地球上、回復不能なほどに撹乱されている。それでも地域の気候や土地条件に適合して自然林の回復の兆しが感じられる森林も生じてこないわけでは無い。多様な樹種の広葉樹の二次林も自然回復の予兆を春先の芽生に烟るような自然の息吹きに感じられる。

 

 森林の提議として、森林とは、高木となる林木が林地とともに存在している状態で林木は最低数本以上の群落と言える。(森林保育と生態、林業教育研究会(四手井綱英)、農林出版、昭和42年)

 こうした林木群落が同一樹種である場合は樹冠が顕著に連続し、林冠を構成する事が多いのではないかと思うがいかがだろう。神社のケヤキ群落では3本の大木の下枝が林縁を構成して、丸い林冠を構成しているのを見かけた。また、小群落のアカマツ林で、大小の林木が共通の林冠で連続しているのを各所で見かけた。こうした林冠連続した群落の森林はあたかも巨大な大木のようである。下枝が枯れあがった個々の樹冠は樹高が同じで下から見上げると、大小の樹冠が組み合わさって林冠を構成している。広葉樹の下層樹木のある場合には上下の変化が加わり、木漏れ日の変化も楽しめる。