2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

場所と場面の構造 場所の樹木の効果

風が吹き、樹木が揺れ、陽光に照らされた葉が煌めいている。様々な木々がそれぞれの幹、枝、葉の特徴に従がって固有な動きをする。風によって人のいない場所も見る人を風とともにあるように誘い込む。もしも、そこに樹木がなければこのようには感じられない…

地方都市の居住環境改善

居住環境の改善は近代の大きな社会問題であった。ユートピア思想から田園都市、近隣住区論、ニュータウンの考えは欧米から世界各国へと影響を及ぼし、日本も先進的な居住環境改善の考え(人間的環境)を取り入れた。工業文明の進展に伴う社会の構造変化と人…

場所と場面の構造 相互関係

空間と場所 空間知覚としての風景 風景の場面構造 主体の環境と場面構造 場面と場所の関係これらの課題を総合的に関係付ける議論の土台となりそうな本を見出した。個人の生活史と社会集団の歴史が生み出した場所に対する蓄積を場所を構成する景観に反映し、…

風致と風景 水田空間

農村景観を構成する要素として水田空間は大きな比重を占めている。日本の国土の隅々に農村が存在し、同時に多くの農村の景観特徴が水田空間によって構成されている。農村は集落単位で構成され、集落の土地利用の範囲ごとに住民が生活し、生産する有機的関係…

風致と風景 空間―霧と闇

空間は建築にふさわしい言葉である。建築内部は、床、壁、天井によって構成される空間である。空間は広がりとして感じられる一方、周囲が面で構成された閉鎖を生み出す。平面と側面、正面であり、の広がりと高さから生じる視角の関係によって心理的な開放感…

場所と場面の構造 場所の議論

場所の概念は空間計画と心理学の分野で問題となっている。これは学習していかなくてはならないが、現在の思い付きをメモとして書きとめ、いずれ書き改めるつもりである。漢字の語彙は間違いかもしれないが、様々なイメージを喚起してくれる。場所の語彙も「…

住宅庭 閉ざされた庭 開かれた庭

阪神地域は戦前から電鉄資本による住宅地開発が行なわれてきた。人口増大によって郊外へと住宅地が拡大し、今日にも拡大を続けている。開発年代によって新旧の住宅地が、重層し展開し、新旧の対比を際立たせている。年代による建築形式と敷地の外構も相違し…

原生林の回復 三百年の森林育成 続2

富県地区の森林計画は地区内の森林全体を包含して構想されたが、各所に森林育成の実行が進むに応じた調整作業が必要となる。すなわち、技術、労働力、資金も含めた森林施業計画が必要となる。それに対応する長期的な森林経営計画の組織が必要である。行政、…

原生林の回復 三百年の森林育成 続

森林計画を地域の森林育成の動向を基盤として考えると年間50haの森林育成を2000haに及ぼすとなると40年間を要することになる。40年後に現在、60年生の林木は百年生となり、20年生の林木は80年生となる。百年の輪伐期であれば、1年生ごとの森林が20haの面積で…

原生林の回復 三百年の森林育成

里山はとても響きの良い言葉である。里は故郷の郷愁につながっている。しかし、農村問題、農業問題の実情といかに結びつきがない言葉なのであろうか。里は郷愁のかなたにある過去の農村の理想化された姿に過ぎないのではないだろうか?里の実体は失われ、里…

原生林への回帰

自然保護の考えは、価値ある自然をそのままに残そうとするものであり、アメリカから国立公園の制度を生み出した。それは資源開発への対立を示すが、自然そのものを残すことによって資源を利用するものでもある。国民的な利用の場として国立公園が成立したと…

原生林 破壊からの回復は不可能か

何千年前の衰亡した文明、人が住めなくなり、森林に埋没した遺跡と同様に、現在の文明もいつか衰亡するのかと空想は広がる。緑化は人間が自発的に進める自然回復であるが、都市環境の衰亡の兆しといえなくはない。自然が失われて都市が衰亡するならば、都市…

風致と風景 前景の効果

風景は前景によってその効果が全く異なる。借景の効果は遠景を庭園に引き込む上で使われるが、それは前景の庭園によってである。日本庭園が庭園自体に景色を取り入れた縮景を再現している段階から、風景自体に展望を広げる上で借景がその手法として見出され…

原生林保護

南アルプスと知床は昭和39年に同時に国立公園に指定されている。自動車の普及とともに道路建設が奥地にまで及びそれとともに森林開発、観光客の増大が進み、原生林の希少価値が増大してきたこと、アメリカにおける原生林保護の法律制定なども影響して、未開…

原生林

今から42、3年前の学生の時、夏のアルバイトに知床で40日ぐらい滞在したことがある。開拓の農家に雇い主と数人の学生が生活し、知床を縦断する林道の基点からの測量を行なう仕事であった。知床の海岸から見ると高い崖の上の台地から、尾根までつながる森林地…

山麓集落の神社における住民利用の変遷と空間変化

箕輪町下古田白山神社を事例として上記の表題の報告を行なおうとしているのであるが、一事例の調査が一般性を持ちうるかが、問題となる。一事例であっても普遍的な問題として解明できれば、研究に値できるのではないかと考えた。下古田集落は、山麓集落の一…

神社空間の考察Ⅲ

神社は集落共同体によって成立してきた。集落の生産基盤は水田を中心として畑地がこれを補う農業であるが、地力の維持、水の確保の点で山林との結合は不可欠であったといえる。神社は集落の社会的中心であり、信仰がその求心力となった。それは、農業に不可…

神社空間の考察Ⅱ

共同体論においての課題は、土地を基盤とした農業生産のもとでの共同体と共同体成員との関係が問題であった。共同体内部において個人ないしは家族の土地占有は、共有と対立関係にあり、この関係の類型として、原始共同体からアジア的形態、古典古代的形態、…

神社空間の考察Ⅰ

どこにでもある神社、神社は村の中心として機能し、村のあるところ神社が必ずあるといってもよい。村が日本の津々浦々まで存在していった過程を柳田國男が「日本農民史」で述べている。氏族社会、条里制、荘園制、武家社会、近世農村の成立と幕藩体制と連綿…

場所と場面の構造

私の住居の前に霊園が広がり、それを超えて市街の景観を展望できる。霊園を日々見ていると朝の散歩、通学、墓の工事、清掃、閑散として烏が墓にとまり、また、鳶が空を舞う。また彼岸などの日には大勢の人が朝早くから墓を掃除し、花を供えて手を合わせてい…

風致と風景の概念

「風致」を辞書で検索すれば「自然の風景などが持つ趣き」「味わい」「風趣」「雅趣」などがでとくる。英語では「scenic beauty」とある。 英語では趣きをbeautyとし、自然の風景などのをscenicに該当させている。以前に書いた論文でsceneとsceneryを舞台に…

森林風致・風景学Ⅰ総論 3

3 森林休養を必要とした近代の生活構造 森林を休養の場とする行動は、生活行動の一部であり、近代社会のもたらした市民生活がその社会的要求をもたらしたことはどのように解釈したらよいのであろうか。近代は工業文明によって成立し、市民社会によって形成…