2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ぶどう園の緑陰

はじめに ぶどうは茂り、一面の緑を形成している。その下のぶどう園にはぶどうの房が目立ち始め、葉や実の手入れを行う農家の人の姿が見られるようになった。 一つの節に二つの葉がつき、その下に二つのぶどうの房が垂れ下がる。一つの葉に一房のぶどう。農…

場所の風景

はじめに 場所はこのブログの主題のひとつとして何度か取り上げてきた。場所は主体を中心とした広がりととらえ、空間上で言うならば、主体の位置からの広がりとなり、社会構造の面とともに、西欧の都市広場(Place)、農村広場(Field)を場所の実体の例とし…

森林療法研究への問題

はじめに 出版案内で「森林療法最前線」が出版されたことを知った。著者は以前、私の研究室で博士論文を提出したので知己の間柄であるが、しばらく、会っていない。森林療法は私の専門ではないので、著者は独自の努力で、博士論文を完成させ、博士取得後も非…

風致林の成立

はじめに 人工林の多くが壮齢林となり、収穫を予定した時期にさしかかっている森林が増大している。しかし、伐採しても収入になりえない状態で高齢林に収穫の時期を延長しようとする方向が生じてくるのは当然である。そこに、間伐が手入れ方法として重視され…

風致間伐と伐採作業

はじめに 昨日、清水氏の風致間伐の実行の提唱に協力して指導して下さる森林技術者の方と実行現場への参加者によって伐採作業が行われた。清水氏と私は運営、森林技術協力指導は大学と県の専門家の3人、参加者は4人の構成であった。まず、専門家のご協力に…

林業の風景

はじめに 林業が風景を作るのであって、風景として見られる林業はありえないことは確かである。しかし、林業が成立しないと考えられた時、森林は放置され、風景として眺めている以外の何者でもなくなってしまう。戦後の植林、拡大造林による里山の林種転換は…

生物の風景

はじめに 生物多様性、生態系サービスは、国際的な課題とされている。しかし、身近な生物空間、生態系はどこに見当たるのであろうか。住宅の中から見出そうとすると、鉢植えの植物が目に付く。皆、園芸種で栽培されたものである。しかし、鉢の僅かな土壌に根…

野の風景

はじめに 戦後の食糧難の時代、道までが畑であり、野原を見る余地はなかったかと思い出すと、荒れた山はマツとツツジ、ススキなどが疎らに生えて、土がむき出しの荒地であった。そこは、原野と呼ばれるような土地であろう。麦畑だったグランドに立ち入りが禁…

砂防と治山

はじめに 大学には砂防研究室と治山研究室があった。現在は流域管理学研究室が砂防研究室の後を継いでいる。治山、治水という言葉がある。オランダ人技術者は大阪の港湾整備に当たって、淀川の水勢管理を行うと共に、上流からの土砂流出を防ぐために、治山事…

森林と雨

はじめに 昨夜から雨となり、朝になっても未だ降り続いている。森は黒づんで、しっとりにと重く感じる。ダ・ヴィンチの手記には乾燥地と湿潤地での樹木の葉の色彩の違いを観察している。尾根と谷では土壌湿度の相違から、ダ・ヴィンチと同様の観察ができる。…

風景の模型(13)島の風景スケール

はじめに 学生時代の一ヶ月を越えた旅行の中で鹿児島からトカラ列島の宝島に10日余りを過ごしたことがある。それは、半世紀も前の思い出である。そんな懐かしさから、トカラ列島という本を買ってしまった。絶海の島々の豊かな暮らしの副題になにか腹立たしい…

森林風致のモンタージュ理論

はじめに モンタージュはマイケルジャクソンの歌だったとは驚きである。犯人を捜すモンタージュ写真は頻繁に使われる言葉となっている。しかし、正当にもウィッキペディアには映画用語であることを明記していている。フランス語で(機械の)組み立てを意味し…

木の花と香り

はじめに 高木の花は目立たない?いや結構大きな花の種類が多く、一面について目立つ種類も多い。しかし、その花の観賞は、サクラばかりが際立っている。ニセアカシアがあんなに、一面に花をさかせ、香りを振り向いていたのに、人は振り向かない。葉とともに…

風景の模型(12)夜景の空想

はじめに 一日の半分、は夜となり、生活リズムは睡眠の休息に向かう。夜に煌く光を持つ夜行性動物に出会うことがあるが、彼らは夜の闇の中で油断を見澄ます忍びの者たちである。意識の混濁、活動の停止、夜の闇における知覚の欠除を、安らかに迎えることで、…

森林官への期待

はじめに 日本に森林官の名称が使われていることを知りました。ブログで調べると国有林の森林管理事務所で働く国家公務員であるということです。以前は、担当区で担当区主任が森林管理に大きな役割を果たしていました。想像するところ、担当区主任のような職…

未来のイメージ 仮説の社会構造

はじめに 個人の生活にとっては、社会的動向は情報によって知らされ、その情報から自分に関係する情報を選択する。自分と社会との関係は、情報によって広げられている。一見、日常の情報とともに個人の社会へのイメージは、世界に広がっているが、情報の適当…

森林と流域

はじめに 山地は尾根と水系によって流域が形成されている。尾根は分水界となり、水系は集水した流水線である。こうして見ると山地の広い面、山腹は雨水の受け皿である。その面が森林で覆われていることによって、森林は水を地面に染み込ませ、透過した水を安…

森林と風

はじめに 昨日は風が強く、木々は激しく揺れ動いていた。今日もまた風が強く、おまけに、雨までが、風の勢いを強めているようだ。これは、逆で、雨の勢いを風が強めているのだろう。この風雨で、木々は生き生きと活気を帯びているようである。 林学者の嫌う…

風景の模型(11)イメージの分析

はじめに イメージは五感による体験の意識であるが、視覚が場面を一瞬のうち全体的に知覚する点で視覚的イメージが優先しているのではないだろうか。体験の記憶も視覚的イメージが象徴化しているように思われる。絵画は視覚的イメージに体験が純化されて示さ…

風景の模型〈10〉イメージの展開

はじめに イメージは意識に生じる現実体験であるが、意識内の空想として活動し、変化し、ドラマを構成する。イメージはそうした行動のシーンであり、演劇あるいは映画では、シーン(景色または場面)が連続してドラマを構成する。エイゼンシュタインは映画の…

帝国の市民意識−仮説の社会構造

はじめに ドイツ語の本が英訳され、その英訳された本の和訳に関わって、英訳に当たったアメリカ人に親しみを覚えると同時にアメリカ人に古代ローマ帝国の市民を感じた。ローマ帝国は多様な民族を包含した地中海を中心とした広大な国家であったことは申すまで…

風景の模型(9)物質世界の抽象化

はじめに 昨日は終日、強風が吹き荒れ、風の音はいつまでも止まなかった。今朝は曇りの中で微風は湿り気を帯びて涼しく、大気の静けさに鳥のさえずりが聞こえている。 こうして体感している世界は自然環境であるが、感じる人間の感覚でもある。しかし、その…