風景の主体 グリーンツーリズム推進委員会

 毎月1回、富県グリーンツーリズム推進委員会が開かれる。今回は12月に行われた炭焼き体験の反省会と次年度計画策定が議題であった。たかずや炭の会は炭焼きを趣味として十数人の会員で運営されている。その炭の会が主体となって炭焼き体験が行われた。参加者は親子連れなど十数人が参加し、喜ばれたとの報告がなされた。炭の天井がコンクリートで恒久的に使用できるが、やはり、土が一番だ。土をたたいて水が染み出るまでにたたけば十分で、天井が落ちることはない。しかし、それには土が大切で、陶土として利用できるような土でなくてはならない。と話がはずみ、土が金鳳寺の裏山にあり、採り尽くされてしまったことを嘆いた。土の天井だと炭がよく仕上がるが、ほう、そうかねとやりとりが続く。炭に焼く木材は、間伐などで提供してくれる地主などがいるとのことである。
 来年度の企画は前年度の継続で、炭焼き体験、クリ拾い、写真展、料理教室などを予定することが決まった。料理教室の食材は地産地消で、地域の農産物直売店の材料を使っていて、参加者も増えているが、料理だけでなく、何か地域に広がる見学や体験が加わるといいと思うと担当者の報告がなされた。食材が有機栽培であることが望ましく、食品が健康に良いものであることの重要性を、90歳以上の高齢で活力に満ちている人が熱心に語り、説得力があった。料理の食材が地域の農業とつながり、農業の再生と転換に役立つ可能性もあるだろう。富県は伊那市の中でも人口減少が著しく、衰退しているかに見えるが、活力ある住民が健在である限り、衰退を感じさせない。
 富県で300年の森林づくりを話題にしたことがあったが、6地区の内、4地区で森林育成に取り組まれているそうである。森林の個人所有が森林育成にネックとなっていたが、キノコ山など森林オーナー制度による森林育成から、地主に土地管理を委託させる体制が広がっているようである。
 農業改良普及所が、富県のグリーンツーリズムの活動をてこ入れするようになり、沈滞しかけた活動が息を吹き返そうとしていることが感じられる。これまでの展開で育った活動を、関連させ、グリーンツーリズムに結びつけることで、今後の可能性に期待が持てそうである。それには、地域の現状の分析と問題解決に向かう上に、グリーンツーリズムを位置づけた構想の構築が必要であることが、感じられる。