森林風致計画の評価項目

はじめに
 長野県林業大学校で清水さんの講義最終日の学生の発表に参加させていただいた。私もいくつかの森林で風致計画を作ったことがあるが、林大生の能力の高さと清水さんの教育の力量に感心した。4つのグループによる森林風致計画の発表が行われ、評価することになったが、評価の項目に関しての考えを記しておきたい。そこから、森林風致計画の特質も明らかになるかもしれない。

森林風致計画の評価項目
 まず、森林の現状を把握することが、計画の可能性を示すと言える。森林調査を行い、その結果から現状を分析することは計画の出発点である。この点を森林の理解力として評価項目に上げることができる。森林の可能性から様々なアイディアが浮かぶ、独創的なアイディアを創造性として評価項目とすることができる。そのアイディアによる計画の効果に関する社会的な妥当性の判断が必要となる。社会性として評価項目とすることができる。以上の3つの評価項目のバランスが取れているかという総合化が必要であり、その総合化には時間軸が加わり、段階計画が必要となる。これを総合性として評価項目とすることができる。最後に、計画を表示するプレゼンテーションのデザイン力である。これを芸術性として評価項目とすることができる。
 森林の理解力は様々な計画の可能性をふくらませる。気象条件、地形、土壌条件、森林の来歴と構造、森林構造における育成の必要(間伐など)、資源の発掘(木材、下層植生、林内環境、景観)などいずれもアイディアの種となるものであり、アイディアの関連や条件としての妥当性を検討する材料となる。
 創造性は、現状を打開して、改変の方向を見出すものとして重要であり、森林の現状をアイディアの視点から見直すことになる。