生活空間 行動と時間

はじめに
 生活空間は戸内と戸外に別けられる。これを生活時間から考えると、戸外での行動は遥かに少ない。また、人によるだろうが、個人的関係と社会的関係において行動を分けると、社会的行動の時間もまた少ない。生活時間のほとんどが、戸内で個人的行動のもとで成立している。しかし、個人的行動のために戸内で閉じこもる生活は、収入と消費という点では成立しえない。しかし、インターネットにおける情報を媒介とすれば、それも成立しえるのが、現代である。一日に一歩も外に出ないで終わることも可能である。収入、消費の社会的行動が、情報に置き換わった時、戸外に出て行く必要はどこにあるのだろうか。
 子供の頃、家に帰るのは、夕食となり、宿題をし、家族のコミュニケーションと睡眠を取るための時間だった。朝は朝食を食べて、急いで学校に行き、終わってからは、近くで遊ぶ毎日だった。雨や冬で昼間も家にいることは苦痛で、本を読むことなどで、紛らわした。戸外が生活の目的とする行動の場であり、戸内は戸外生活を補完するものといえた。高齢となり、退職した時、戸外の行動は、生活ではなく趣味となったのであろうか。僅かな買い物も、用事も自動車で出かけると、戸外の環境との関係は希薄となっている。この戸外と戸内の逆転はどこで生じたのであろうか。仕事を失った時からであろうか。あるいは、情報化社会の進展のためであろうか。情報を媒介とする間接的な社会関係は、何か信頼が置けず、直接的な社会関係に依存しようとして、時代からの立ち遅れを感じさせられる。