森林風致 森の光

 太陽の輝きは、朝日か夕日で見ているが、昼間は上空にあって、その輝きのために見ることができない。朝日が山の端から上空にさしかかり、光線が側方から射すとき、耐え切れない眩しさに、目を背ける他はない。森の中から見れば神々しくも優しい光となって、木々を際立たせる。木々は太陽を遮り、光の放射を作り出す。朝の露が蒸気となって青い大気を作り、光の放射を受けとめ、太陽の輝きを再現させる。ただ、それだけのことなのだ。






 木々は光に戯れ、個々の樹冠は満遍なく光を受け止め、四方に光を投げかける。投げかけられた光に応えて、下方の樹木が首を伸ばしているようだ。林床にまで届く光斑でコケの緑が鮮やかになり、そのコケに柔らかく包まれて稚樹が大望を抱いて密かな時を待っている。光の全てが森に吸収され、森の豊かさを育むのだ。