森林風致 アカマツ林の樹形

 信州にはアカマツ林が多い。西日本育ちにとってアカマツの樹形は、変に曲がっていたりして、幹が通直なアカマツを見た記憶がない。私の生まれた四国の山では、戦後の山地の荒廃もあって、小さなアカマツが疎らに生えた状態を思い浮かべる。信州に来て、大きく、通直なアカマツで構成された森林を見て、同じ樹種とは思えない程であった。

 しかし、そのアカマツ林も過密な森林が多く、樹冠が樹高の5分の1程しかない森林が多く見られた。樹高の高い森林では、間伐しても成長は促進されず、風倒や雪折れの被害の危険性も増加する。極度の過密状態の続行は共倒れでアカマツが衰退し、コナラ林などへの移行が起こることも考えられる。過密状態の持続は、樹高が高くなるが、樹冠は小さなままである。林縁部のアカマツが林外に向けて、樹冠が残っているだけ、成長の可能性があるが、風当たりがきつく、樹高が抑制されのであろう。
 疎林となったアカマツ林のアカマツ樹冠が樹高の半分まで残り、閉鎖するまで成長が持続するだろう。
 過密なアカマツ林は樹冠が連続し、樹冠の幅は薄くなる。林縁は風などの影響で樹高が抑えられ、その結果、丸い林冠を生み出す。アカマツ林が、林木個々の樹形の個性を生み出すために、疎とすることが役立つ。しかし、疎である林木間の距離が隔てたるほど、単木的となる。全く、当然なことであるが、実例を拾ってみたのがその写真である。孤立木と林木の関係から、どのような樹形が生み出されるか、さらに多くの観測が必要であろう。