風致と風景 景観評価

 環境アセスメントにおいて景観評価はいかに位置づくのであろうか?主要視点からの眺望を害するか否かといった基準は、ゴミ処理場のエントツが周辺の住民への影響には当てはまらない。生活の場の景観に価値をおいて、その価値を減退させないことを基準に考える必要があるからである。主要視点が景観の側にあるのではなく、生活の場において考える必要があるからである。高い構造物は、近い位置にあるほど、視角的にその影響が大きくなる。一方、景観に価値をおいて考えるならば山地景観の標高に対してエントツの高さがどのような割合をもつかが、自然景観に占める人工景観の比重として問題である。これらは量的な問題であるが、心理的な問題はある。心理的な問題は、視覚以外の感覚の影響と景観要素の総合化された知覚としての問題が関係している。景観を知覚して意識された風景における影響であり、環境の総合的知覚としての風景の問題といえる。
 環境影響評価は、建設される人工構造物が周囲の環境を改変する可能性に対して、環境への影響と環境を利用する人々への影響が少なくなるように努力し、その結果として生じる影響を評価するために行われるものであるだろう。