場所と場面 物質循環

 この現実世界はすべて物質でできている。その最小の構造は原子であり、原子によって構成された分子であることは誰もが認識し、自然科学の研究が進展し、さらに認識が深められている。生物の最小単位が細胞で遺伝子によって細胞から構成された生物体が再生産される、そこで、遺伝子レベルの研究が急速に進展している。宇宙レベルにも物質の変動の認識が深められている。原子核や原子や分子、鉱物の結晶や生物の遺伝子や細胞、生物体、その環境、生態系、気象や地形形成、地殻変動、太陽系、銀河系、さらに広大な宇宙の認識が深められ、それらのミクロからマクロまでの物質の構造への認識が深められ、新たな世界観が構築されていく。最近、ロハスという言葉を始めて知った。また、「脳研究の最前線」という本を買って読んでいる。次々、進展する自然科学の新たな認識を学ばなくては、古い知識を改めることができず、現実の動きにもついていけなくなっているのではないかと思うとともに、新たな知識を学んでいくことも楽しいことである。古い知識に依拠してきた人間として、新たな知識による物質世界がどのように構成されているのか、想像して見たい。
 時間的な推移とともに生じる循環的変化は、循環のエネルギーを主に太陽光によって与えられ、日夜、季節の陽光の循環、大気と地表、水面の水の循環、地形形成、森林生態系における物質循環、人間体内に生じる新陳代謝、社会の生産、消費の経済サイクルが見出される。また、一定の状態の持続は動的変化の中での平衡状態がもたらすものである。こうした、循環的変化に様々な平衡状態が成立する。一定の平衡状態が次の平衡状態に移行する過程が弁証法的な論述に類似して考察されうることもあるのではないだろうか。物質循環の重層化した変化過程や平衡状態における様々な場面に遭遇し、場面を環境として知覚するのであろう。そして、その場面は循環過程によって再現する。こうした理解が一般的になってきているのであろうか。
 環境計画におけるメタボリズムの考えも、物質の循環的変化に即応した環境調節であり、人間の快適な状態を平衡状態としてもたらすことを目的としたのであろう。