場所と場面の構造 行動空間

 生活のための行動範囲が生活圏ということができ、生活圏は様々な行動の場で構成されるということができる。行動は、行動の場の環境を知覚し、環境への反応としての行動が成立する。環境における空間条件の知覚は、行動の可能性を判断させ、条件の選択とともに行動が実行されているといえる。近代の建築空間において人間的スケールを尺度とした空間構成は行動空間の可能性を計画するものであろう。行動、動作に対応した空間の形態を機能的空間として表現することもできる。
 行動は動作の広がりと延長によって行われるので、空間の広がりを必要とする。空間を知覚することによって行動の可能性を判断する。空間の知覚は視覚によって行われ、主体を取り囲む事物との間隔によって構成される。取り囲む事物は行動の障壁となって避ける必要があり、行動の可能性を制限している。同時に視界を制限し、その制限が空間を知覚させる。事物の視界の制限が少ない空間は、開放的であり、制限の多い空間は閉鎖的と感じられるが、これは行動の制限を表すものでもある。