風致と風景 空間の集合と風景要素

 樹木の集合が森林であり、住宅の集合は住宅地、農家の集合が集落である。住宅地、集落は単なる集合ではなく、宅地に道路が連結し、住民生活に必要な共同的施設が附属している。公園、集会所であり、消防などの施設である。集落には水路があったり、神社、祠や寺なども加わり、隣接して農地や林地が広がる。集落の立地は自然環境と結合し、河川、山地などの条件に適合している。
 風景における遠景には地表の景観の展開が風景要素となっている。都市部に視線を向けてみると、都市部の周囲には農村部の広がりがあり、農村は農地の滑らかな表面が見られ、そこに、暗い緑の樹林が点在あるいは帯状に入り込んでいる。その樹林は農村部の背景となる山地の緑へと連結している。農村部の広がりは、農家が集合し、共同的施設によって結合し、農地の広がりと連結した集落が単位となって構成されている。その農村部に住宅地や工場地などの都市部を構成しする要素が散在して入り込んでいる。都市部と農村部の葛藤が地表の景観を構成している。そして、人工の作用(開発)に対する、山地や傾斜地、農村部に入り込んだ樹樹林の緑は自然の残存を表現している。