森林風致 ニセアカシア

 アルプス公園の渓流の谷の斜面はニセアカシア林となっている。小さな頃、ニセアカシアの藪で棘に難渋したことがあったので、森林となったニセアカシアは同じ樹木とは思えない。今の季節は広葉樹の芽吹きが一斉におこり、その新緑は日増しに枯れ木立だった森林を華やかに彩ってきている。しかし、ニセアカシアの芽吹きはもう少し先のようであった。ニセアカシアは、山地は崩壊防止のために植林されたのであろうが、随分と嫌われているいるようである。アルプス公園でも既に林になっているから、残されているのだろうが、好ましい森林とは思われていないのであろう。しかし、何故、嫌われるのであろうか、確かに、伐採しても、株から萌芽し、藪となって、棘があり、厄介なことになるのは間違いないであろう。
 二セアカシアは、木材としても結構、使えるのではないかということを聞いたことがある。マキにして使ったが、硬くて火持ちがよくて、マキにもよいことは確かめた。大学構内にあった単木のニセアカシアは成長がよく、相当の大木になっていたが、切られてしまった。花が沢山ついて、房状に垂れて、白くて美しく、香りはとてもよい。しかし、花が楽しまれることも無いようである。外来種だから嫌われるのだろうか?あまりに多く蔓延っているからなのであろうか。
 たくましく、蔓延っているが、過密な状態には弱いようであり、枯れて倒木が目立つ林も見られる。最近、こうした過密なニセアカシア林を間伐していて嬉しく思った。大木となって花をさかせ、その真価を発揮してくれれば、よいのだがと思っているのだが、嫌われるているのが、いつも哀れに思う。しかし、実はこれが甘いのかもしれない。二セアカシアは、したたかな木で、手に負えない心配もある。勝手に植えて、また、嫌って切ってしまう人間を見返そうとしているのかもしれない。駆除などの言葉に、人間の身勝手さをますます思うのである。