場所と場面の構造 空間

 空間は建築に相応しい言葉である。人体の動作と行動に対応して作られた空間が建築であるからだ。しかし、宇宙が空間と言われる時、空間は無限の彼方に広がって、限定された空間から観念としての空間となり、天空の視界によって知覚される。天空を空間の側面とすれば、もう一つの側面は地上である。地上は直接の確かめられる実体であるが、天空の無限の空間は実体なのか確かめようがない。建築は地上の実体をもとに天空に向かって壁を支えたものである。無限の空間に限定した空間を作り、普遍的な空間から特徴的な空間を区切り取ったといえる。
 普遍的な空間の中で行動する主体、その主体を中心にした行動空間が意識される。行動空間の広がりが普遍的空間に到達していると思考することは、主観的な意識である。行動空間における居住の場として建築空間が設定されていると考えられるが、建築空間が地上の一定の位置に置かれているのと同じように、行動空間も地上に位置した場所である。主体の位置する場所は、それぞれ異なり、移動によっても相違してくるにしても、普遍的な空間からいえば、地上の広がりの中にある。地上と天空の広がりの知覚が普遍的空間を構成しているとする意識は、自分の位置を客観化する意識でもあるといえる。