風致と風景 事物の外観

 環境の知覚は、様々な事物の外観によって生じる。外観に対して内観という概念が対置されると考えられるが、事物の外観の知覚を、どのように意識するか、あるいは、内部的な意識の作用がどのように生じるかを考察することを内観ということのようである。事物の外観の概念は、内観に対置するものではないようである。事物の存在は、外観を伴っている点では、知覚することは外観を知覚することになる。事物存在は広がりを持っている点で事物は立体的な外観を持っており、立体とその表面の状態が外観ということになる。立体の表面は、外部に接している部分であるので、立体には知覚されない内部が含まれている。立体の内部は表面と同じ物質で充たされているか、空洞となっているかは知覚できない。しかも、視野は一方向からの平面的な視覚であり、立体表面の一方向からであり、裏面と前方からの事物の重なりの背後もまた、知覚されない。知覚される部分に対して、知覚されない事物の内部、裏面、背後の存在の比重は知覚される部分に比してはるかに大きい。