場所と場面の構造 場所と空間の関係

 場所とは何ををさしているのであろうか。地表上、あるいは生活行動圏のある位置を示すものか、位置を中心にした範囲を示すのか、あるいは生活行動圏そのもを指すのか、さらに、地表そのものを指すのか、不明である。空間が宇宙までを指していることと同様の不明さである。地表上の主体の存在している位置から広がりを延長して考えれば、場所は無制限の広がりを持つ。幸い、地球が球であるために、無限に広がりながら、かつ、地球の範囲に限定されている。生活圏はこの地表に主体の移動をトレースしたときに見出される生活の範囲である。人間の行動範囲は、平面的な広がりによって示される。
 場所の範囲から考えると、行動は様々な障害物によって制限される。物理的な障害、距離自体も障害である。また、社会的な障害などもある。移動における平面の広がりは、移動の自由を示している。垂直な壁は移動の制限を示す。垂直な壁は、知覚の範囲を制限する。逆に平面の広がりは知覚を眺望にまで広げる。垂直な壁は地表の2次元の平面に、垂直を加えた3次元の空間を生み出すことになる。水平面に対する垂直は重力の作用する方向である。重力に抗する上下の移動は負荷が働いて移動の制限となる。また、地表から突き出た障害物は、視線の障害となって、知覚を制限する。移動と知覚の制限は、場所の物理的な限定範囲を示すことになる。壁によって囲まれた空間は、行動と知覚を限定する場所の範囲となるといえる。