森林風致 森林と公園

公園と森林の相違は何か?
 公園は、住宅に附属する庭園の共同的、公共的な開放として成立した。新たな公園も都市における庭園とのイメージがある。庭園であるから居住の場として、戸外の休息を求めればよいのである。樹木は存在するが、庭園の一部の要素であり、芝生に点在し、広場を囲む壁としての役割であった。あるいは、並木道のビスタであり、ベンチの木陰であった。
 森林は地表を覆う自然環境であり、人工環境に対置される存在である。森林環境を構成する、すべての要素が尊重されなくてはならない。森林環境を利用して林業が行なわれる場合も、合自然の取り扱いで、自然の変化に合致して、行われる技術が求められた。森林での休息は、こうした自然との接触である。樹木は刈り込まれてはならず、林床は芝生であっては、森林とはいえない。
 森林でも、自然林と人工林が区別される。自然林が休養利用、自然接触の場となることは、自然林が生活区域から離れていることが多いことから、あまり、考えられないことであろう。未開発の点からは、探検家、専門家の調査の対象であろう。一方、人工林でも皆伐作業の森林は、人工が強調され、断続的な変化を見せるために、自然環境の比重は少なくなり、林床の植生、大気、光線の作用などに限られる。森林の自然的構成と変化に合致した画伐、択伐作業は、自然環境の要素を多分に含んだ森林が形成され、森林の変化も連続的である。こうした取り扱いの森林では、自然との接触は豊富となるだろう。
 森林公園は「森林の囲い込み」ではないか? 
 森林の喪失は、都市住民の居住環境にとって大きな損失と意識され、残存している森林の保全運動が展開するものとなった。保全運動が行われなかった地域からは、急速に森林は失われた。開発による森林の喪失と森林の保全運動は、開発が激化するとともに、保全活動も緊急となる関係にあった。開発が沈下した時が、保全活動が最も好都合な状態であったが、・・・開発が激化する中で、森林を公園化して、開発から防御することが行なわれた。莫大な公共資金を必要としたであろう。
 囲い込まれた森林は、農村環境の一部ではありえなくなり、公園として管理された森林となった。あるいは、森林から公園へと転換した。