風景と観光

 風景は観光にとっては対象として扱われる。しかし、観光は利用者の行為であるよりも、観光産業の面が強く出てくるようであり、風景は観光資源として扱われることになる。観光産業にとって風景資源の育成は不可欠であるとえる。しかし、観光産業による風景資源は見世物としての開発に陥りがちであった。
 戦前に風景協会という団体があり、「風景」という雑誌を発行していた。戦後に廃止され、日本観光協会に受け継がれて、「観光」という雑誌の発行に代わった。風景協会の基盤は、各地の景勝地の保勝会などであったと思われるが、戦後は地域開発として観光業の振興が問題となり、観光協会へと変換していった。これは、風景から観光への、資源育成から産業開発への転換であったといえる。