ダーウィン「進化論」の影響

はじめに
 ダーウィン「進化論」の影響が絶大なものであることは言を待たないことであるが、恒続林思想における森林生態の考えに作用していることを著者のメーラーが明記していることや、ギブソンの生態心理学の分野にまで影響していることを知って、現代に到るまでのその広範囲で絶大な影響の一端に感銘を受けている。ニュートンの静的世界観が進化論による動的世界観へと転換したことは、19世紀のトピックであろうが、それは現在に持続し、われわれの世界観の基本をなしている。しかし、この動的世界をどのように認識し、その行く先はどこに到達するのかの実態は明らかではないまま、われわれ自身がその世界の一端を担っている。

アフォーダンス
 環境心理学においてギブソンが生態心理学を創設し、その基本にダーウィンの環境と生物の有機的関係の分析にあったこととが、佐々木正人アフォーダンス入門に記述されている。そこには、ダーウィン(1809-1882)は1831-36のビーグル号探検記により進化論の根拠を得たことが記され、その後のミミズの観察が動物の行動と環境との関係として心理学への大きな示唆となっていることを記している。
アフォーダンスとは環境の持つ作用であり、環境の主体の意識や行動を受け入れる効果を持っているものと解釈してよいのであろうか。主体の意識や意志は、環境に適応して行動となる。環境は行動の条件として作用している。意識や意志を持たない動物の行動は、環境のアフォーダンスによって自動的に行動が行われ、それはその動物の生存のための必然的な行動ともなる。こうした行動は人間にも見出すことが出来る。もう少し、この入門を読まなくてはならない。そこから、ギブソンの考えの理解に到達できるだろう。

森林有機
 多様な生物にアフォーダンスを提供する森林環境がどのように構成されているか。