戸外環境

はじめに
 戸内と戸外は、人工と自然と同様に対比的な言葉であるが、環境として対比的に存在しているわけではない。全体と部分との関係でもない。戸内は建築の内部にいる状態を示し、これに対する外部を戸外とするが、人為とすれば、広い土地を選択し、敷地を得て建物を建てている点で、土地の広がりの空間に建築が設置されているだけで、建築を包含した地域が存在し、敷地が存在しているだけなのである。敷地が地域に連続した開放空間であり、建築は三方を閉鎖した空間である。戸外環境というけれども、もともと存在している地域の環境条件なのである。建築空間は、この地域の環境条件を遮断して、人工的な空間を構成している。一端遮断した環境条件を選択的に建築空間に導きいれる。この時に、戸内に対する戸外が意識される。
 戸内から戸外を見る観点は、主観的状態で成立し、地域における住宅は、客観的立場で認識される。われわれは戸内の主観的状態自体を客観的に認識することが必要であり、戸外は限定的な表現にすぎず、戸内と対比されるものではないことを考えることが必要である。

環境のデザイン
 人の生活は環境によって成立する点で、環境は与えられた条件であり、これを受け入れるために認知し、行動する。建築は環境遮断によって求める生活をえるために環境を改変するデザインであり、計画である。戸内空間が生活のデザインを実現すれば、生活の環境条件となる。この個人的な生活空間が外部と連続するために敷地計画が必要であり、外部の条件と内部の条件との関係をデザインする。条件をデザインするわけではない。