護られた樹木

はじめに
 山にも百年の木が残っていることは稀有なことである。にも関わらず、神社には普通に百年を超える木がある。神社は木があるところに作られたのだろうか、それとも作られてから木が植えられたのであろうか。神社の来歴は古く遡ることが多く、また、起源は定かでなくなる。長い歴史の中で伝承は途絶え、記録だけが歴史の証左となるのであろう。最初、簡便な神社、あるいは祠のようなものから、共同体の中心になっていくのつれて、整備が重ねられていくのであろう。境内は聖域となり、その場の森林や樹木が人為を超えた場所として崇拝され、保存されたのであろう。
 枯れてもなお、大切にされる木は、歴史の年数を経ていることがさらに尊重の理由となる。神社の信仰は薄れても、地域の中心として神社は存続し、境内の森林と樹木は遥かな自然崇拝の意識を喚起させる象徴となっている。