単調な森林景観

はじめに
 松本や伊那の森林景観に単調さを感じているが、それは、松本、伊那に限らず、関西や北海道にさえ感じられた。私だけの感覚なのであろうが、理由を考えて見ると、年齢層が一様であることと、放置された状態に起因するようである。人工林、自然林の変化があり、4,50年生とそこそこ生育している点では、林内も階層構造を持って変化があるのだが、過密な森林は暗く、下層の植生を抑制している点では共通している。また、暗い林内は人を近づけなくしている。
 山地が利用されなくなって久しく、荒廃地や草地も自然林が回復し、また、植林によって人工林が成立し、山地は一様に森林に覆われている。自然林は山地の利用がされなくなったことを示しており、地形に合った広葉樹やアカマツ林は、以前の利用されていた森林とは全く別の様相を示して、人間の近接を拒否しているようである。また、人工林は地形などにも適合せず、所有境界などで直線的に区画され、いかにも人工景観を生み出し、また、広範な同一樹種の植栽に不自然さを感じさせる。その人工林が放置された状態は荒廃を感じさせる。

森林景観の回復
 回復した森林が、景観としての価値を高めるためには何を考えたらよいのだろうか。人工林の放置を育成に転じることも一つの手段、あるいは、人工林を創った責任でもある。