造園空間

はじめに
 造園の対象とする空間の範囲はどこまであるのだろうか。オープンスペース、あるいは緑地に含まれる空間がその範囲であるだろうか。緑地やオープンスペースには、自然環境に広がって、その限界はなさそうである。造園が生活空間を形成する技術であり、建築に関係して戸外を対象とする点で、造園空間を取り上げていくと、庭が上げられる。次に近隣の空間にある公園が上げられる。また、移動に伴う空間の風景も含まれる。
 こうして生活空間の部分として造園の対象となる空間を拾い上げていくと、結局、その範囲はただ広がるばかりである。問題は庭と公園、街路の風景などの比重とそれらの関係によって、生活空間をどのように担っているかが問題なのである。そうすると、造園空間は生活空間に包含される。生活空間の範囲に限定がされないことが、造園の範囲を不明確にしている原因といえるだろう。
 計画によって限定された生活空間、住宅敷地、住宅団地、ニュータウンなどでは、造園空間は明確である。しかし、計画は計画者の恣意的意図が含まれ、居住者の生活要求とは齟齬が生じていることが考えられる。造園空間と生活空間との相克した関係に注目する必要がある。造園空間がもたらす相克した関係を緩和するために、ただ、原っぱや森のような空間だけを確保して、デザインを回避することも、一つの方法であるかもしれないが、それは造園の停滞した状態であり、相克した関係を克服する造園とはいえない。造園空間は生活空間を盛り上げる役割があるといえる。