森林レクリエーション

はじめに
 戸外レクリエーションの需要増大が問題とされだしたのは、アメリカのORRRCレポートによるところが大きいといえる。そこに森林レクリエーションの項目は無かったのではないか?戸外は、自然環境であり、自然環境を水面と陸地にわければ、陸地には森林が存在している。あえて森林レクリエーションを上げる必要もないことになる。散歩、ハイキングや登山に、草原や森林を通過し、接触することになる。水面でさえも包含されるだろう。あえて、森林レクリエーションと言うことは、林業あるいは森林行政の立場からであり、レクリエーション活動の主体たる国民の立場からではないのであろう。レクリエーションのために森林を場として提供することは、林業を犠牲にして行われるという考えが大きいことにもよるであろう。確かに、昭和40年代の森林公園の設置がブームであった時代には、林業対象地から除外して、森林公園となる自然休養林が設定されてきた。
 昭和40年代以前に、レクリエーションのための自然公園の設定は、自然環境を保護することによって行われてきた。その場合にも、森林における林業は自然保護の支障として制限対象とされた。林業における自然環境の育成と持続という場面が無視され、皆伐による破壊的場面のみに注目されたといえる。

「森林レクリエーションの今後の展望」
 この表題は山林1501号に掲載された枚田邦宏氏の論題である。ここで森林レクリエーションを純粋に字義通りとすれば、森林公園の利用に限られるであろう。自然休養林や生活環境保全林などの事業によって整備された森林公園の利用も多いには違いないであろうが、周辺に限られ、森林資源と立地条件によって利用が偏在することも考えられる。また、森林のレクリエーションで集中的な利用も限られ、利用がある適度、疎であることも、利用の特質といってもよいであろう。
 レクリエーションを散歩やハイキング、登山の利用種別でとらえようとすると、場所としての森林に限定されないことになる。利用種別に森林も場所として含まれるであろうと推定するだけである。枚田氏もこの点に悩まれているようである。内閣府が毎年行っている「森林と生活に関する世論調査」を利用して、森林レクリエーション利用の変化を論じているが、場から利用種別を分けてみることになり、量的に利用種別と場との関係を整合させて見ることができない。場としての森林は漠然として公園なのか、風景なのかが分からない。
 風景として森林が大切だとするなら、森林公園の範囲を越えて、林業の場における森林風景の両立を模索する必要がある。われわれ森林風致研究所が行った道路景観の調査で、ドライブにおける道路景観に占める森林要素の効果は非常に大きいということが明らかであった。その森林要素が林業的な育成によって効果をおおきくすることができ、放置されることによって、効果を低下させる場合が多い。国立公園区域の普通地域であったので、施業の制限はほとんどない区域であるが、施業を行うことで、道路景観を向上させる可能性のある方法を見出すことができる。

レクリエーション利用増大のため森林育成
 自然公園における施業制限、森林公園における森林保護は、森林育成を妨げ、森林景観を悪化させ、レクリエーション利用減少の要因にもなっているであろう。森林景観を破壊するような森林施業には、制限や施業からの保護が必要であるかもしれない。しかし、これまで施業してきた森林を放置するこによる問題が考えられてこなかった。