林床の進化

はじめに
 森林の林床は上層の樹木の状態によって変化する。上層の樹木の成長は林内環境の日照と風力、湿度を変化させ、その林内環境の変化はそこで、生育する植物の種類を変化させる。林内植物の生育条件には土壌の変化も作用するが、土壌の条件は植物の生育自体が変化する要因となる。林床は森林を更新させ高木類の稚樹の生育条件となる点で、森林の持続に長い時間をかけて影響を与えている。林床の植物の生育状態は、現在の林内環境を示すとともに、将来、形成されていく森林の状態を予測させるといえる。
 林床が裸地となっている場合、枯枝などが堆積した林床、コケの林床、オシダの林床、草本の林床、低木類の林床、ササの林床などを林内の暗さの順に並べることが出来るかもしれない。コケ、オシダ、草本類、低木類の順は、植物の進化の順に並ぶようで面白い。明るさの相違が、植物の進化をプリズムのように表現しているようである。森林内の共存する植物相は進化の過程を包含しているようである。
 「地球の緑化以上に重要な出来事はなかった。地球の緑化は、その後の進化劇場において陸上を舞台に起こったあらゆる出来事を準備したからだ。」p.204が生じたのは4億3800万年前のシルル期以降ということである。植物の進化とともに、陸上が緑化されていったのであろう。
オシダの林床

コケの林床
リチャード・フォーティ:生命40億年全史、草思社2003