ゴミ焼却処理場の建設位置を巡る論議

はじめに
 長野県下の各広域連合地域でゴミ焼却処理施設の建設が課題となっている。2年前に関わった位置選定の検討委員会に関して、新聞記者から検討項目に関する問い合わせが会った。ゴミ焼却処理施設の建設の検討庫目に住民の合意形成を加えなかったのは、何故かという質問であった。「住民の理解度」が当時論議となり、客観的な検討項目だけを取り上げることにして、住民の理解度の項目は位置評価項目から除外したのであるが、反対する地区に対して、賛成する地区があれば、位置決定を容易にするために「住民の理解度」として入れたくなるのは当然である。しかし、賛成する意見が住民合意であるかは大きな疑問でもあった。
 迷惑な施設を受け入れるのに、住民合意が成立することは困難であるし、住民合意は民主主義の根幹であることは確かである。ゴミ焼却処理施設は現在の大量のゴミが生じる消費生活では不可欠なものであり、住民はそのために労力を、行政は回収と処理に経済的に負担を負っている。住民はこうした仕組みを理解し、ゴミ焼却処理施設の広域的な必要性は理解されているだろう。しかし、ゴミ焼却処理施設の周辺に生じる汚染や交通問題による地区の環境悪化の迷惑に関しては、地区としては拒否することになる。ゴミ焼却処理施設を受け入れる理解度とは、施設の必要性と環境悪化の程度が少ないという判断が住民に広まっているかどうかにかかっている。