自然環境再生の緑化技術

はじめに
 山寺先生より「自然環境再生の緑化技術」を送っていただいた。4章で構成され、まだ、1章を読み終えたばかりだが、電車の中で一気に読んだ。地球環境における砂漠化を緑化によって防ごうと努力されている先生の意気込みに押されたせいであろう。
 地球創生の歴史のなかで、約5億年前の植物の誕生が、緑化の始まりであり、大気の組成を変化させ、生命の多様な分化による進化を現出した。そうして、陸地を覆った植物を基盤とした生命環境と大気の組成を破壊して生じた砂漠化は、地球の至るところに見出され、拡大するようになり、そうした砂漠化を修復することが、山寺先生の壮大な緑化の考え方といえるのだろう。
 荒廃した山地の緑化は治山であり、植林による復旧は国土緑化と言われるが、道路や地盤造成に伴う斜面の法面緑化、都市環境における植栽は都市緑化と言われる。地球の生命環境の創生と同じように、鉱物質の露出した地表面も、植物が進出し、徐々にではあるが自然の生命環境が回復する。しかし、その回復の速度以上に、破壊の進行が大きいことが、問題である。これを放置すれば、地表面の破壊が連鎖して破壊を拡大する。破壊を抑制し、破壊した場所は修復することが必要である。地表面の生命環境を修復するための技術を山寺先生は、緑化技術と考えている。