森林の更新

はじめに
 人工林の皆伐作業による森林更新は植林である。天然林における森林更新はギャップの発生による天然更新である。林冠にギャップが生じることによって、下層の樹木の成長が促進され、やがて、林冠が閉鎖する。南アルプス亜高山帯針葉樹林のギャップをO君が修士論文で取り組んでいたことを思い出す。また、カヤノ平のブナ天然林を見にいき、天然林の凹凸のある林相にギャップを見出したことがある。現在の森林生態学では、天然林のギャップ更新による林分のパッチ状の配置は常識となっている。
 人工林における枯死、倒木によるギャップの発生は森林破壊と受け取られることもあるが、自然間引きの一環とも考えられる。過密な植林では、人工であれ、自然であれ密度調節が必要である。しかし、天然林においても森林の下層またはギャップで更新した稚樹や幼齢木が密生し、自然の過当な密度調節が進行している。