地方都市の緑の基本計画

はじめに
 都市公園整備緊急措置法は新全総の時代に、施行され、生活環境の水準向上のために、図書館、下水道とともに増設していくことが決められた。都市人口当たり、公園面積をどれだけ確保するかが、目標として掲げられた。しかし、都市の地価が高騰していた時期に増設のための土地取得は困難であったろう。一方、都市の高密化は、オープンスペースを縮小し、緑の残された地域(緑被地)を減少させていった。都市住民の公共的なオープンスペースの必要性はより重要さを増したといえる。郊外に大面積の緑地を確保することは、市街地よりも容易であり、緑被地の減少を抑止する可能性も増大した。しかし、生活環境の向上に公園が役立つには、生活圏内の配置が必要であり、また、その施設の内容が、住民要求に即している必要があった。そこで、配置と施設内容、デザインに関して、住民参加や住民による公園管理が問題とされるようになった。また、災害時における公園の避難緑地、公害に対する遮断緑地としても注目され、都市環境に適切に配置された公園、緑地配置の総合計画が必要とされるようになった。
 地方都市においては、大都市に比べ、人口の高密化はやや、緩和している。また、都市拡大の速度も緩慢で、郊外に広がる市街の範囲も限られてくる。適度な都市施設の整備とオープンスペースのゆとりは、都市周辺と都市内部に緑被地と公園も確保されて、良好な生活環境が確保されている。しかし、都市開発の進展が急な地域では、公園の整備が遅れ、高密化で緑被地が減少して、緑地の貧困な地域を作り、都市内部に緑地の偏在を生み出したと考えられる。また、市街化の進展地域が、これまで開発されなかった居住不適地や遠隔地に散在して、生活環境の向上とは逆に、貧困化することも生じていると考えられる。一方で中心市街では空洞化現象が生じ、高密で緑地の少ない地域の荒廃が生じる可能性も増大してきた。

松本市における緑地の偏在
 松本市では平成9年(1997)に緑の基本計画が作られ、公園配置の公平化を進める構想を示している。計画的住宅地開発では公園の確保がなされたが、既存の市街地で新たな公園用地の確保は困難で、公園配置の偏在が解消した状態とは言えない。また、量的にはアルプス公園の拡張によって、一気に公園面積を増大させた。これは、公園の偏在を増大させるものでもあった。一方、市街地周辺の森林は緑地として役立つものであるが、個人有林が多く、放置されて、接近しにくい状態が進行している。こうした量的、質的な緑地の偏在が見られる。
 これをどのように把握していくかであるが、地域を区分する単位として、地区を単位としてみていき、地区内に公園がどれだけ配置されているかを見る。面積割合から公園面積を地区面積で割って、%として表わすことができる。人口当たりの公園面積の偏在も出すことが出来る。また、公園以外の緑地、河川、神社、山林、住宅などを公園に加えることが出来る。地区の人口密度はオープンスペース残存の指標となる。また、人口に対する公園面積は、人口が過密であれば、1人当たりの公園面積は少なくなる。

公園緑地の配置効果
 公園の配置による住民が生活環境向上の効果を評価することが重要である。大公園近接し、地区内に公園面積と緑地の多い地域の住民は、生活環境の向上を感じ、逆に、大公園から離れ、公園面積割合の少ない地域では生活環境が悪いと評価するのであろうか。