村から国への共同体論

はじめに
 人間社会の共同体論については、マルクスや日本では大塚が論じてきた。歴史の基層をなす共同体がどのように移行したか、その共同体の移行とともにどのような上部構造たる国家が生起したか。今西は国の成立における共同体の構成を論じている。残念ながら詳しい論議は忘れてしまっているので、覚えている範囲の想像に過ぎないのだが、共同体群の共同体が上位の支配層となって国家の構造が生じることだったと考える。これは、人間社会にとどまらず、生物社会にも生じる現象であることの指摘が今西の優れた洞察の眼目であったかと覚えている。言い換えると生態的秩序の構造というものであろうか。