風の波

はじめに
 強い風は方向を持った空気の塊が当たるように体に感じる。空気の中にまた空気の塊があって走り抜けるのであろうか。固い壁に当たると、壁を避けるように横や上に方向を変える。目には見えないけれど、風は走り抜ける空気の塊なのだろうか。木立に当たる風は木立を押しつけ、木立に跳ね返されて、律動している。しかし、風の律動が木立の揺れを作り出しているのかも知れない。
 最近の竜巻の被害は上空に向かう空気の流れによって生じて、風速が数十メートルにも達していたそうである。アメリカの巨大竜巻の番組から竜巻の空気の流れが律動して、竜巻の力を強めているそうである。弱い風はそよ風となって、木ノ葉を揺すり、葉ずれの音を奏でる。風の波はリズムとなる。海の波はうねりとなり、海岸の打ち寄せる波でその波長はリズムに替わる。激しい海の波は海岸に打ち寄せる風の強さと一体となって激しさを増す。竜巻が発生し、近づく様子も風のリズムから読み取れるかも知れないそうである。強弱、波長、リズムを風が持っている。風は流れであるとともに、空気の波といえるのであろう。

風景の律動
 風の中に虫がいる。古代の中国では風は気候の変化であり、その風向は方位と重なっていると感じられたようである。孔子詩経は歌謡を集めたもののようで、歌謡の生じる社会階層を風として区分されて表記されているようである。
 風によって風景は一変する。季節とともに風が変わり、風景は変化する。人が移動し、その場所によっても風景は一変する。時代的変化や社会的立場も風景を一変させるだろう。風を感じ、風景の変化を予測することは、竜巻来襲の予測と通じているかもしれない。