計画の構造

はじめに
 自治体行政に様々な事業と計画が盛り込まれている。その計画の構成は基本構想、基本計画、実施計画で構成されている。個人の行為を一つの事業とすれば、目的を検討する思考と目的を決めて行動の過程を予定として想定する段階、実際に行動する段階に対応していることになる。思考を実際の行動とすることは、観念の外化の過程に即応している。自治体の事業は社会の共通観念を見出し、それを実現する過程といえる。
 しかし、計画と実施に直面する現実とは齟齬を生じる。現実に対応しない計画で、市民の総意と考えられる共通観念は破綻をきたす。市民の総意を見出すために意識調査や計画過程でのパブリックコメントが求められることが多くなっている。また、議会で議員の賛成による承認も必要とされる。これらの市民意識の計画への反映も、現実の把握に即応していなければ、空想的な計画となる。目的とする問題解決や要望がどんな現実から生まれてきたのかの把握、分析が必要である。原因を知らずして問題解決の方法を見出すことは困難であり、空想的な計画は、問題を解決するどころか、表面的な問題の糊塗によって、混乱を招き、問題を深刻化する可能性もある。
 地域社会や環境の実体は過去から未来へと永続するものである。計画の過程は時間的な進行段階を示すものである点で、現実の実体の部分的な改良を担うものである。現実にとって計画の必要と効果が何かを吟味することが計画立案の意義と考えられる。一事業の計画は、その現実的効果と他の事業との関連のもとに位置づけられる。その点で地域の歴史過程を構成するものとなることだろう。計画の実施は環境改変によって新たな歴史を生み出すものになることも事実であり、その功罪を検討することが必要である。

無計画と現実の秩序と混乱
 地域は個人、企業などの自由な活動の場であるが、環境や社会の枠内に制約されている。自由主義経済と民主主義による自治とは相克しているが、近代の自由と平等の社会原則となるものである。