景観の外面と内面

はじめに
 日々目にする景観は地表面の現象であり、現象が投影された地表面の形態といえる。地表面に生じた形態となる景観が現象の外面であるのに対して、現象そのものは景観の内面ということになる。とすれば、景観の内面となる現象がどのように生じるのか、が外面の形態を生み出す要因である。その要因は景観の要素の形態で現象し、全体的な景観の形態の要素の相互関係を現出させる。
 地表は自然の現象の現出する場であるが、自然環境を改変する人間の活動による現象が現出し、外面の要素の中に大きな比重を生み出している。人間主体に見れば、人間の活動による生活環境が中心となり、自然現象はその背景として生じ、時に生活環境の大きな破壊力を生じさせる。そこで人間中心の景観も自然と安定的な関係を講じることによって持続性が高まる。現代の生活環境は技術の発展とともにその領域を拡大しているが、自然との安定を見いだせずに、その持続が危ぶまれている。