自然に従う森林施業

はじめに
 合自然的林業の表題の赤井龍男先生の著書があり、赤井先生は最近の講演で従自然の森づくりの表題を掲げられた。自然に従う森林施業をインターネットで検索して、そのような森林施業は見当たらないことに気づかされた。工業は自然に逆らい、農業は自然を利用し、林業はせいぜい、自然条件に適合しようとするものであることのようである。
 立地条件に恵まれた地域の森林は植生遷移の最終段階に成立し、自然の状態で地表は森林で覆われるものと考えられる。戦後、禿げ山を植林しなくても放置されて森林が回復している。こうした自然林から収穫する林業は従自然の林業といえるだろう。赤井先生は合自然的林業は粗放林業ともいえる事を指摘している。林業を農業と比べれば、人工林であっても粗放であり、程度の差はあるが、合自然の施業といえるだろう。自然に反して林業が成立しようがないし、過大な労力や投資は経営の負担となる。自然条件に従う以上に、自然に従わざるを得ないといえる。