翻訳の校正

はじめに
 古い古典を理解したい。その著者を理解し、その考えを自分のものとして共有したい。ドイツ語の著書が英訳され、その英訳を和訳する作業に、現在、全文の校正を進めている。多くの訳者による翻訳は用語もまちまちで、訳者による意訳がなされる場合もあり、未だ全文は多くの謎を持ち、正当な理解が伝わらない。著者から英訳者、和訳者の手を経て、著者の意図は迷路に入り込むことが多い。遅々として校正作業は進まない。

英訳者の誠意
 しかし、和訳の対象としている英訳の文章は訳者の著者に対する敬意と誠意に満ちており、その直訳からは著者の理解が垣間見えてきた。著者の記述した森林の姿、そこで問題とされている点が浮かび上がる。英訳者はドイツ語の直訳から10年間を経て、出版に漕ぎ着けている。その間に現地にも出向き、また、訳者の米国での事情と照らして、著者の百年前の事情を考察し、その著書の意義を明らかにしようとしている。そこには大変な苦労があったことが記されている。