松本・緑の基本計画と風致

はじめに
 松本市の緑の市民会議に公募委員として参加することになった。市内を一日も欠かさず、6年間、散歩し続けている市民として、松本の環境を体験していることを自負している。
 松本の緑の景観は住宅の庭や境界、寺社の境内、松本城、河川、周囲の農地、山地によって構成され、都市計画による公園や街路はあまり、緑の風致に貢献しているとは言えないと考える。公園や街路樹の設置や管理に関してその改善策を検討する必要を市民会議で発言したいと考える。
 先日、市民会議開催の通知が来て、会議の目的が緑の基本計画とともに、風致地区に風致条例を定めることが会議の目的とされていることを知った。市街地は建物の老朽化、空家の増加が問題となり、消費税値上げの影響なのか、建替えや集合住宅が増加している。住宅地の緑も減少していることは、確かに問題であろう。

風致地区と緑の基本計画
 風致は趣が感じられることであるが、どのような場所に趣が生じるにであろうか?秋の紅葉、落葉には落葉広葉樹がある場所となるが、アスファルトで舗装された車道には落ち葉の風情は消えてしまうばかりか、ゴミでしかない。落ち葉を踏んで歩く道、地面に散乱する落ち葉、風に舞う姿は、一瞬、自然の趣に浸って目を留めることだろう。
 こうした一瞬は、自然の赴くままの姿から趣の風致が感じられるということである。その風致を阻害することさえなければ、風致はどこでもいつでも存在している。車道、喧噪、窮屈な空間、けばけばしい色彩、いやな匂い、ゴミの散乱など、風致を阻害する要因は多々ある。一方で、風致を促進する要因は何だろう。空の広がり、風の通る空間、陽光や木陰、自然に生育した樹木や樹林、水の潤い、香り、清潔や落ち着き、静けさや鳥の鳴き声、そんなあらゆるもの。