近代と民俗の世界 農家の庭と土手草、

はじめに
 農家の庭、山間地水田に見られる土手の野草を、研究主題としていたことがある。これは、柳田国男の文の風景の成長と信州随筆いう文中にヒントを得ている。柳田国男民俗学の証左として取り上げる事象が現在の農村生活の中に過去からの生活行為の継続として残っていることに気づいたからである。しかし、持続している民俗習慣とこうした習慣を根絶させていく時代による生活の変貌といかなる関係にあるのかを、考察しておくことが、研究を意義づけるために必要と考え、今になって考察しようとしている。

「こなしのはなし」信州随筆より