地表変動論と植生の被覆

はじめに、
 地表変動論は1979年に東三郎先生の書かれた論文である。これを、馬場多久男先生の南アルプスのカラマツ生育の消長に適用して、1995年に森林と土砂流出の循環的変動の考察の論文がまとめられた。地形形成と植生の消長が関連し、土砂の変動の中で一時的な植生の安定が成立し、変動と安定が循環している自然環境の一端を見出す事ができた。

森林景観の動的平衡
 地球における生命の誕生と進化は海と陸地を生命に満ちたものとしている。陸地に水の海から生命特に光合成を行う植物が進出したことによって、大気の成分を変化させ、地表を植物が被覆する画期的な変化が生まれたとされている。
 陸地は地上に降り注ぐ水分(雨)によって風化した土砂が浸食、堆積することによって地形を形成し、植物の被覆は、浸食を弱め、堆積した土砂を安定させる。地形形成の循環時間を安定によって、長期化したといえる。厳しい山岳地域にも、数百年の天然林が成立しているのは、土砂を安定させているためであろう。