皆伐による森林喪失

 近くの山地に出かけ、皆伐地を見かけた。周辺に残っている森林は密生し、人工林に広葉樹も混生してきていた。数十年生の放置ヒノキ林と思われる。伐採された木材は玉切りされて、積まれ、搬出されるのを待っていた。下層の木も取り払われ、伐採跡地の空漠とした林地が広がっている。
 このまま、放置されれば、広葉樹が生育してくるだろうが、草、ササ、ツル類と競合し、木材収穫が可能のとなるような森林の復活は、ほど遠い。密生した藪の林地が生じてくるに違いない、
 植林は行われるのだろうか?植林と後の下刈り作業にお金をかければ、伐採による収穫の採算はとれないだろう。ならば、何故、伐採されたかの疑問が生じる。

 この近くにFパワーの大規模施設の建設が進められ、そこでは、製材と残材による発電がセットで行われ、大量の木材が消費されることになっている。伐採された木材は、この大型施設への搬入が予定されているのではと想像される。放置され、成長してきた森林の蓄積が一挙に消費されることになる。木材搬出の容易な道路沿いなどの林地は、安易な皆伐によって、薮の森林を拡大するのであろうか?恵まれた自然の放置林と対比して暗澹たる林業の末路を考える。これが、林業の現状なのかと。